フィンランドのThe Qt Companyは、クロスプラットフォームのアプリケーションフレームワークの最新版「Qt 5.8」を、1月23日(現地時間)にリリースした。
「Qt 5.8」では、IoTや組み込み機器向けに最低限必要な機能を選んで、コンパクトかつパフォーマンスの高いQt環境を構築できる「Qt Lite」機能が新たに追加されている。
「Qt Lite」の利用によって、最大で60%のメモリフットプリントの削減や、それにともなうアプリ起動時間の削減、パフォーマンスの改善を実現したほか、GUI設定ツールへの対応、OpenGL依存からの脱却、ウェアラブルをはじめとする低スペックなIoT機器への対応などサポートするハードウェアの拡大が行われた。
UI開発の面では、Qt Wayland Compositor APIへの正式対応により、独自のWayLandコンポジタを作成できるようになるとともに、コンポジタ作成に必要なさまざまなツールも用意する。さらに、C++やQMLによるコンポジタのUI/UX記述にも対応している。
Qt Wayland Compositor APIを使用すれば、マルチスクリーン対応デバイス向けの開発が容易になるほか、高度に抽象化されたAPIによってコード量の削減や、テスト・デバッグの工数の削減、独自のWayLand拡張によるクライアント・コンポジタ間の通信のカスタマイズ、ビルトイン・シェルスクリプトによるさまざまなクライアントへの対応が可能になる。
このほか、Qt SerialbusによるAPIを用いたデバイスのバスプロトコルや通信への対応、Qtテクノロジープレビューとして追加された音声読み上げ機能によるアクセシビリティやユーザーエクスペリエンスの向上、同じくQtテクノロジープレビューのQt Network Authorizationモジュールによる、アプリケーションやデバイスとサードパーティのWebサービスとのクラウド連携、State Machine XML(SCXML)に準拠したステートマシンによる意図しないシステム動作の削減やワークフロー検証など、多彩な新機能が追加されている。
【関連リンク】
・The Qt Company
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