ネット全盛の今、テレビや新聞、雑誌といった既存メディアはその存在意義を問われ、変革を迫られています。ではメディアはどこを目指し、その実現にはどんな変化が必要なのか。メディアの実態を深く理解している筆者が、進行中のメディア改革の今とこれからを読み解きます。
シリーズ
境治 メディアに明日はない
25回
Netflix、視聴体験を重視 CMを唐突に挿入するYouTubeと大違い
Netflixの視聴中に流れるCMは非常に少ない。ドラマや映画の腰を折らないよう配慮している。ユーザーへの気遣いに欠ける近年のネット広告に一石を投じる。
中居正広さん騒動でフジテレビ炎上は必然、日枝氏「院政」の末路
中居正広さんの騒動を巡りフジテレビ社長が記者会見に臨むもお粗末すぎて炎上、スポンサーが次々とCM放映を中止した。同社では独裁体制が長く続いており、ガバナンスが不全に陥っている。放送局への出資規制を緩め株主の声を強めてはどうか。
荒廃し炎上マシンと化したX 2025年、政府はもう黙っていない
荒廃が極まったSNSの浄化が2025年に始まるだろう。炎上マシンと化したXからは、すでにユーザーが大勢離脱している。各国政府も規制の強化に乗り出した。劣化の一途だったSNSは転換期を迎える。
Netflixの地元ファースト戦略、日本で会員1000万人達成の原動力
Netflixは「極悪女王」や「地面師たち」など日本のオリジナル作品を日本市場向けに制作するローカルファースト戦略で国内会員1000万人を達成した。日本の視聴者を想定してつくっているからこそ、海外でも受け入れられるという逆説的な「ヒットの法則」も見えてきた。
エミー賞18冠「SHOGUN」に学べ 日本の映像業界、やりがい搾取横行
米国の制作会社が手掛けた時代劇ドラマ「SHOGUN 将軍」が日米でヒットし、米エミー賞を受賞した。高評価の背景には潤沢な制作予算がある。翻って日本のテレビ・アニメ制作現場は低予算にあえいでいる。制作費の水準を引き上げねば、日本発の映像コンテンツは世界で戦えない。
テレビ視聴率 対象年齢拡大はメディアの論理だ
団塊ジュニア世代が間もなくテレビ各局の狙う49歳以下のコア視聴者の対象外となる。そのため対象年齢層を拡大した新しい視聴率の測定法を採用する動きがテレビ業界で出ている。ただそれでは広告主のニーズに応えられない。各局は視聴率至上主義を排し、視聴人数を新たな指標とすべきだ。
Netflixの「地面師たち」 テレビ局が忘れた過激描写で大ヒット
Netflixで大ヒット中の「地面師たち」はテレビドラマではタブーとなって久しい過激な暴力や性が表現されている。本来そうした反社会性は娯楽の一要素だったはず。テレビ局中心の業界秩序は崩れようとしている。
Netflixの背中遠く解体論も 米メディア大手が配信で苦戦
米メディア大手が配信サービスで大苦戦している。お荷物のテレビ部門を売却するとの観測が広がる。日本の監督や俳優にとってはハリウッド作品に進出する好機だ。
NHKのネット配信義務化、テレビ持たぬ若者は振り向かない
法改正で放送と並びネット配信がNHKの必須業務になった。だがテレビ離れが進む若年層を引きつけられずに失敗しそうだ。もはや報道部門だけを公共メディアとして残すなどしてNHKを抜本的に改革しないと、生き残れない。
生成AIを使うほど メディア業界はオッペンハイマーの苦悩を背負う
表現者にとって生成AIは有能な助手になり得る。ただ記事作成などで生成AIへの依存が深まれば、メディア業界のあり方が一変する可能性がある。核兵器が国際社会を変えたように。
YOASOBIの「アイドル」ヒット、世界のアジアオタク狙え
世界で日本のコンテンツを受け入れる土壌が整ってきた。海外進出で先行する韓国のコンテンツ業界は日本の強い味方になる。すでに世界的な人気を誇る漫画の知財を持つ日本の出版社は、韓国と組むなどして世界進出の中核を担えるポジションにいる。
「ゴジラ-1.0」アカデミー賞受賞は日本コンテンツによる世界上陸の第一歩
映画『ゴジラ-1.0』がアカデミー賞で視覚効果賞を取った。VFXも担当した山崎貴監督は連日のように各メディアに呼ばれ、日本中が受賞を祝っている。日本映画は過去にもアカデミー賞を受賞しているが、今回は意味合いが大きく違うと思う。それを知るには、日本のこの30年ほどの映画産業史を振り…
売り上げ至上主義はびこるネットメディア 広告の質低下は経営の責任
この原稿を書く直前のこと。ある記事を読んでいて次のページへ進もうとしたら、画面が暗く覆われて広告が表示された。「ミドルの転職」と大きく書かれた広告だ。私はフリーランスなので転職も何もない。用もない的外れな広告に視界を遮られてすっかり読む気をそがれ、続きを読むのをやめた。
ネット広告巡るモラルハザード深刻化 メディア崩壊は防げるか
この1年ほどだろうか。ネット広告がひどい状況になっている。まっとうだと思っていた立派な出版社系ネットメディアの広告が、不愉快極まりない出方をする。さらに危険なのがSNSに表示される広告で、Facebookには著名人の顔写真と名前を使った、詐欺としか思えない広告が友人たちの投稿に続…
『セクシー田中さん』事件で露呈 Xの修羅場化とメディア幻想の終わり
日本テレビ系で放送されたドラマ「『セクシー田中さん』を夢中になって見た。だからこそ、原作者である芦原妃名子さんの件はショックだった。芦原さんは、X(旧Twitter)にずいぶん長い投稿をされていたがすぐに削除し、最後の投稿を残して亡くなってしまった。彼女を自殺に追い込んだのは、X…
能登半島地震で考えた 欧州型公共メディアへの移行の必然性
2024年の元日(1月1日)に発生した能登半島地震ではたくさんの方が被害を受けられ、亡くなった方も多い。いまだ避難生活を続けている方々を含めて、お見舞いを申し上げたい。今回の地震に際し、改めてメディアが抱える課題に気付かされた。今後のメディアのあり方や制度を考え直す、様々なきっか…
ワーナーとパラマウントが合併交渉 蚊帳の外の日本が目指すべき未来
23年末、メディア業界を震撼(しんかん)させる大きなニュースが流れた。米メディアコングロマリットのワーナー・ブラザース・ディスカバリーとパラマウント・グローバルが合併を模索しているという。
在京テレビ局の業績急降下 「楽しさと頼れる情報」が復活の条件
主に地上波放送を楽しむためのものだったテレビは、「ネットデバイス」へと変わってきている。ではテレビ局の「この先」はどうなるのか。2023年11月に発表された在京キー局の中間決算で発表された放送収入の変化と、ゴールデンタイムのPUT(総個人視聴率)の推移から、テレビ局とテレビという…
「VIVANT」人気で話題のTBS それでも縮まらぬグローバルとの距離
日本の放送業界で最近、大きな“期待の星”となったのが、TBSテレビのドラマ「VIVANT」だ。誰もが物語のスケールの大きさとともに、明らかに「お金がかかっている」ことに驚いたはずだ。日本のテレビドラマがモンゴルでの現地ロケを敢行し、1話に1億円もかかったとの情報が飛び交い、TBS…
ディズニー+、Netflixは広告で多角化 出口見えない日本は蚊帳の外
米国のエンターテインメント事業者が一気にSVOD型の映像配信へと舵(かじ)を切ったのは、新型コロナウイルス禍の前後だ。例えば米ウォルト・ディズニーなどが開始した「ディズニー+(プラス)」はあっという間に会員数を増やし、「Netflix(ネットフリックス)」に迫る勢いになった。他に…
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