「ずっと150%では走り続けるとおかしくなっちゃうから」

  2016年に配信者として活動を開始し、大手事務所のVtuberの“中の人”として活動していた時期を経て、活動9年目に突入したksonさん。

  人気者が急に活動を休止したり、燃え尽きのような形でフェードアウトしてしまうケースも多い世界で、ksonさんはなぜ8年間も活動を続けてこられたのか。事務所からの退所を決めたきっかけ、「今楽しくないかも」と気づいてしまった瞬間、そして長く活動を続けるたった1つの大事なポイントについてお話を伺った。

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ksonさん ©文藝春秋 撮影・三宅史郎

「私を動かしてたのは完全に趣味と承認欲求だけでしたね」

――ksonさんが動画投稿を始めた2016年って、どんな雰囲気でしたっけ。

kson もう8年前なんですね。当時はゲーム実況でお金を稼ぐっていう文化がまだなくて、どっちかっていうと動画を作る人がお金を払って投稿する状態でした。

 主流も今のような配信じゃなくて動画投稿だったので、土日に1人でバーッてゲームの動画を撮って編集して、それを平日にアップする、みたいな。私を動かしてたのは完全に趣味と承認欲求だけでしたね。

――趣味と承認欲求。

kson 育った家が割と厳しくて、「ゲームは悪」「やると頭が悪くなる」と言われてゲーム機ももちろん買ってもらえず、ずっと禁止されてました。でも大学で1人暮しを始めたら一気に反動が来て。アルバイトしたお金で自分でゲーム機を買って、友達もいなかったのでドハマりしちゃって。

 

――友達が少なかった?

kson 少なかったというか、ほとんどいなかったです。学校行って、バイト行って、あとは帰ってゲーム。小さい頃から親が転勤族で1年おきに引っ越していたので人と仲良くなった記憶がないし、話しかけられるのも嫌だから「話が通じないから話しかけてもしょうがない子」みたいなキャラを作ってた気がします。

――それが承認欲求につながっていった。動画投稿を始めたのは大学生の頃ですか?

kson 大学の頃は1人で遊んでただけで、卒業して働きはじめてからでしたね。医療系で夜勤とかもある忙しい職場だったんですけど、逆にお休みの日に電話かかってきたりはしなかったので、動画を撮る時間は確保しやすかったかもしれません。