フランク ミュラーが2003年に発表した「クレイジー アワーズ」は、時計業界に革命をもたらした傑作のひとつだ。これにより、時計は単なる道具ではなく、職人の手による美術工芸品として再認識されることとなった。
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1980年代末に始まった機械式時計ブーム、その後の高級時計ブームにより世界中で華やかさを増した時計業界にあって、フランク・ミュラーはその先駆者的存在として登場した。1958年に生まれ、ジュネーブの時計学校を首席で卒業。歴史的なアンティーク時計の修理や修復に携わる一方で、独立時計師としても名を馳せ、特に複雑時計の分野で大きな評価を受けていた。
1991年に自身の時計ブランドを立ち上げ、その翌年には「フランク ミュラー」を冠した時計を発表。たちまち時計業界のスターとなり、30代で100年以上の歴史を持つ名門ブランドに並ぶ存在となった。
「トゥールビヨン」や「ミニッツリピーター」などの複雑機構を次々と搭載した時計を発表し、「マスター・オブ・コンプリケーション」と称されるまでに。時計界で最も成功した独立時計師となったのだ。
そして2003年に発表したクレイジー アワーズは、その名の通り、時計の常識を打ち破る斬新な発想で世界を驚かせた。特徴的なのは、文字盤の数字が規則正しく並んでいないこと。1から12まで順番に並ぶ通常の時計に対し、1時方向から「7、12、5、10、3、8、1、6、11、4、9、2」とバラバラに配置されているため、時針が通常とは異なる位置になっている。
そして、最も目を引くのがその動きだ。分針は従来通り右回りに60分で文字盤を一周するが、分針が12時の位置に来ると、時針が次の数字にジャンプする。例えば、1時から2時へと進む際、時針が一気に7時位置から12時位置に「5時間分」動いて現在の時間を指し示す。
この大胆な発想は、時計を「時を知る道具」としてだけでなく、「時を楽しむ」ためのガジェットとして捉えた結果の産物であり、時計の概念そのものを変えてしまった。
今回紹介する「クレイジー ラブ スヌーピー」は、ユニークな限定モデルで時計愛好家を魅了するBamford Watch Department(バンフォード ウォッチ デパートメント)とのコラボレーションによって生まれた。アメリカン・コミック界のアイコン、スヌーピーとその相棒ウッドストックが共演する、スヌーピーファンにも時計ファンにも必見の一品となっている。
ブラックPVD加工を施したチタン製のトノウカーベックスケースに、「クルー・ド・パリ スパイラル」模様のブラック文字盤が組み合わされ、スヌーピーが腕で時の経過を教えてくれる。シックでありながら、ユーモアと楽しさを感じさせるデザインが特徴だ。
FRANCK MULLER / フランク ミュラー
クレイジー ラブ スヌーピー 参考価格:610万5000円(税込) 限定:50本
- SPEC
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- ケース径:50.4 × 36 ㎜
- 自動巻き、ブラックPVDコーティングチタンケース、防水性能:日常生活防水
お問い合わせ先
- フランク ミュラー ウォッチランド東京 TEL : 03-3549-1949
Text : Yasuhito Shibuya