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熱中症予防は夏本番前が大切! 暑さに慣れることから始めよう

熱中症予防は夏本番前が大切! 暑さに慣れることから始めよう

熱中症予防は夏本番前が大切! 暑さに慣れることから始めよう 熱中症予防は夏本番前が大切! 暑さに慣れることから始めよう

熱中症が最も起こりやすいのは1年で最も気温が高い8月だと思いがちですが、梅雨明け直後の、まだ暑さに体が慣れていない時期こそが、実は要注意なのです。熱中症予防として注目されているのが、梅雨の時期までにしっかり運動して汗をかき、体を暑さに徐々に慣らしていく「暑熱順化(しょねつじゅんか)」。スポーツ界でも実践する「暑熱順化」とは何か、熱中症予防への効果や、運動時の熱中症対策のポイントなど、スポーツ科学に詳しい長谷川博先生にうかがいました。

熱中症が最も起こりやすいのは1年で最も気温が高い8月だと思いがちですが、梅雨明け直後の、まだ暑さに体が慣れていない時期こそが、実は要注意なのです。熱中症予防として注目されているのが、梅雨の時期までにしっかり運動して汗をかき、体を暑さに徐々に慣らしていく「暑熱順化(しょねつじゅんか)」。スポーツ界でも実践する「暑熱順化」とは何か、熱中症予防への効果や、運動時の熱中症対策のポイントなど、スポーツ科学に詳しい長谷川博先生にうかがいました。

監修
監修
広島大学大学院 人間社会科学研究科教授 長谷川博先生 広島大学大学院 人間社会科学研究科教授 長谷川博先生
広島大学大学院 人間社会科学研究科教授
長谷川博先生
広島大学大学院 人間社会科学研究科教授
長谷川博先生

はせがわ・ひろし 横浜国立大学教育学部卒業後、横浜国立大学大学院教育学研究科修了(体育学修士)、東京都立大学大学院理学研究科修了(理学博士)。広島大学総合科学部助手、ベルギーブリュッセル自由大学海外特別研究員などを経て、現職。運動生理学を専門として、運動及び環境ストレス時における生体反応や身体の適応反応について生理学的手法を用いて分析している。国立スポーツ科学センター「東京オリンピック特別プロジェクト」研究員や日本スポーツ協会・熱中症予防プロジェクト研究員などを務める。

はせがわ・ひろし 横浜国立大学教育学部卒業後、横浜国立大学大学院教育学研究科修了(体育学修士)、東京都立大学大学院理学研究科修了(理学博士)。広島大学総合科学部助手、ベルギーブリュッセル自由大学海外特別研究員などを経て、現職。運動生理学を専門として、運動及び環境ストレス時における生体反応や身体の適応反応について生理学的手法を用いて分析している。国立スポーツ科学センター「東京オリンピック特別プロジェクト」研究員や日本スポーツ協会・熱中症予防プロジェクト研究員などを務める。

熱中症は盛夏よりも暑くなり始めた時期になりやすい

熱中症は盛夏よりも暑くなり始めた時期になりやすい

熱中症は盛夏よりも暑くなり始めた時期になりやすい 熱中症は盛夏よりも暑くなり始めた時期になりやすい

熱中症のリスクが最も高いのは夏真っ盛りの、1年で最も暑い時期と思われがちです。しかし、実際は梅雨の晴れ間の突然気温が上昇した日や、梅雨明けすぐの高温多湿、風が弱い、日差しが強い日などに起こることが多いのです。スポーツ系の部活などでは特に、休み明けの練習時や合宿初日、新入部員などに熱中症は多く見られます。

そういった状況で熱中症が起こる原因は「体が暑さに慣れていない」からです。熱中症を防ぐには、本格的に暑くなる前から対策を取ることが肝心です。

熱中症のリスクが最も高いのは夏真っ盛りの、1年で最も暑い時期と思われがちです。しかし、実際は梅雨の晴れ間の突然気温が上昇した日や、梅雨明けすぐの高温多湿、風が弱い、日差しが強い日などに起こることが多いのです。スポーツ系の部活などでは特に、休み明けの練習時や合宿初日、新入部員などに熱中症は多く見られます。

そういった状況で熱中症が起こる原因は「体が暑さに慣れていない」からです。熱中症を防ぐには、本格的に暑くなる前から対策を取ることが肝心です。

熱中症予防のために、スポーツをする人もしない人も知っておきたい「暑熱順化」とは?

熱中症予防のために、スポーツをする人もしない人も知っておきたい「暑熱順化」とは?

熱中症予防のために、スポーツをする人もしない人も知っておきたい「暑熱順化」 熱中症予防のために、スポーツをする人もしない人も知っておきたい「暑熱順化」

「暑熱順化」とは読んで字のごとく、暑さに体を慣れさせること。暑熱順化は近年、スポーツの現場などでも暑さ対策として重要視されています。スポーツをしない人にとっても、熱中症予防に役立ちますので、覚えておくとよいでしょう。

私たちの体の機能は季節に合わせて調節されています。熱中症はこの体温調節システムがうまく働かなくなることが原因で起こります。つまり、「体内に熱がこもる」「体内の水分と塩分不足が起こる」ことを、いかに防ぐかがカギなのです。

近年は梅雨が明ける前から、気温が35℃以上の猛暑日になる日も少なくありません。暑さに慣れていないと、急な気温の上昇に体の調節がうまくいかず、熱中症になる危険性が高まります。

<暑さに慣れると人の体には次のような変化が起きる>
・皮膚の血流量が増え、熱放散しやすくなる
・血液量が増加し、体温の調節反応が起こりやすくなる
・発汗で水分が失われることに反応して、尿の量が減る
・体に塩分をためるホルモンが増加する
・汗の量が増加する反面、汗に含まれる塩分量は減り、体から塩分が失われにくくなる

梅雨が明けて暑い日が続き、体が慣れてくると、人間は暑さに強くなります。しかし、熱中症予防では、その前から体を暑さに慣れさせる期間が必要になります。

「暑熱順化」とは読んで字のごとく、暑さに体を慣れさせること。暑熱順化は近年、スポーツの現場などでも暑さ対策として重要視されています。スポーツをしない人にとっても、熱中症予防に役立ちますので、覚えておくとよいでしょう。

私たちの体の機能は季節に合わせて調節されています。熱中症はこの体温調節システムがうまく働かなくなることが原因で起こります。つまり、「体内に熱がこもる」「体内の水分と塩分不足が起こる」ことを、いかに防ぐかがカギなのです。

近年は梅雨が明ける前から、気温が35℃以上の猛暑日になる日も少なくありません。暑さに慣れていないと、急な気温の上昇に体の調節がうまくいかず、熱中症になる危険性が高まります。

<暑さに慣れると人の体には次のような変化が起きる>
・皮膚の血流量が増え、熱放散しやすくなる
・血液量が増加し、体温の調節反応が起こりやすくなる
・発汗で水分が失われることに反応して、尿の量が減る
・体に塩分をためるホルモンが増加する
・汗の量が増加する反面、汗に含まれる塩分量は減り、体から塩分が失われにくくなる

梅雨が明けて暑い日が続き、体が慣れてくると、人間は暑さに強くなります。しかし、熱中症予防では、その前から体を暑さに慣れさせる期間が必要になります。

効果的な暑さへの体の慣らし方は2週間「無理なく汗をかくこと」

効果的な暑さへの体の慣らし方は2週間「無理なく汗をかくこと」

効果的な暑さへの体の慣らし方は2週間、無理なく汗をかくこと 効果的な暑さへの体の慣らし方は2週間、無理なく汗をかくこと

では、熱中症予防での暑熱順化はどのように行えばよいのでしょうか。

大事なのは暑熱順化を開始する時期です。梅雨の時期から無理のない範囲でしっかり汗をかくことが大切になります。

暑熱順化で体が暑さに慣れるまでには、個人差もありますが、約2週間かかるとされています。ポイントは「汗をかくこと」を続けることです。

具体的な方法としては、ウォーキングなら1回30分を週5回程度。サイクリングなら1回30分を週3回程度。ジョギングは1回15分を目安に、週5日程度行うとよいでしょう。室内の筋トレなら1回30分を週5日以上、汗をかくことを続けることを目標にしましょう。また、汗をかいた後は、忘れずにしっかり水分補給を心がけてください。

スポーツをしない人は、シャワーではなく湯船に浸かり、適度に汗をかくことでも暑熱順化できます。入浴の頻度は2日に1回程度。湯の温度が高めなら時間は短め、低めなら少し長めに入浴するとよいでしょう。

せっかく暑熱順化ができても、暑さから数日遠ざかると効果はなくなってしまいます。天候が定まらない梅雨の時期は特に、熱中症への注意が必要です。

では、熱中症予防での暑熱順化はどのように行えばよいのでしょうか。

大事なのは暑熱順化を開始する時期です。梅雨の時期から無理のない範囲でしっかり汗をかくことが大切になります。

暑熱順化で体が暑さに慣れるまでには、個人差もありますが、約2週間かかるとされています。ポイントは「汗をかくこと」を続けることです。

具体的な方法としては、ウォーキングなら1回30分を週5回程度。サイクリングなら1回30分を週3回程度。ジョギングは1回15分を目安に、週5日程度行うとよいでしょう。室内の筋トレなら1回30分を週5日以上、汗をかくことを続けることを目標にしましょう。また、汗をかいた後は、忘れずにしっかり水分補給を心がけてください。

スポーツをしない人は、シャワーではなく湯船に浸かり、適度に汗をかくことでも暑熱順化できます。入浴の頻度は2日に1回程度。湯の温度が高めなら時間は短め、低めなら少し長めに入浴するとよいでしょう。

せっかく暑熱順化ができても、暑さから数日遠ざかると効果はなくなってしまいます。天候が定まらない梅雨の時期は特に、熱中症への注意が必要です。

スポーツする人が知っておきたい、運動中の熱中症を予防するポイントは?

スポーツする人が知っておきたい、運動中の熱中症を予防するポイントは?

スポーツする人が知っておきたい、運動中の熱中症を予防するポイント スポーツする人が知っておきたい、運動中の熱中症を予防するポイント

日本の夏の暑さは年々厳しさを増しています。スポーツをする時は環境条件を把握することが大切です。以下の「熱中症予防のための運動指針」を目安に、熱中症の危険度や適切な休憩の取り方、水分補給の量やタイミングなどをあらかじめ理解しておきましょう。

①まずは運動ができるかどうかの判断を適切に
サッカーや野球など屋外で直射日光を浴びるスポーツはもちろん、室内競技でも熱中症対策は必須です。閉め切った体育館は気温、湿度ともに高くなっています。運動ができるかどうかを適切に判断し、暑さが体に慣れていない「梅雨時の急に暑くなった日」や「休み明けの練習日」などは特に、こまめな水分補給と休憩を心がけましょう。

日本の夏の暑さは年々厳しさを増しています。スポーツをする時は環境条件を把握することが大切です。以下の「熱中症予防のための運動指針」を目安に、熱中症の危険度や適切な休憩の取り方、水分補給の量やタイミングなどをあらかじめ理解しておきましょう。

①まずは運動ができるかどうかの判断を適切に
サッカーや野球など屋外で直射日光を浴びるスポーツはもちろん、室内競技でも熱中症対策は必須です。閉め切った体育館は気温、湿度ともに高くなっています。運動ができるかどうかを適切に判断し、暑さが体に慣れていない「梅雨時の急に暑くなった日」や「休み明けの練習日」などは特に、こまめな水分補給と休憩を心がけましょう。

熱中症予防のための運動指針。WBGT(暑さ指数)、湿球温度、乾球温度(気温)で環境条件を評価。 熱中症予防のための運動指針。WBGT(暑さ指数)、湿球温度、乾球温度(気温)で環境条件を評価。

②水分・塩分補給の目安を知っておこう

②水分・塩分補給の目安を知っておこう

水分は、運動前から飲むことが大切 水分は、運動前から飲むことが大切

<運動前から飲むことが大切>
スポーツ活動中はただ水分を摂るのではなく、「適切」に摂ることが大切です。ポイントは「のどが乾いていなくてもこまめに水分を補給する」こと。加えて、「運動前」に飲むこともとても大切です。

熱中症予防での1回当たりの飲水量と頻度は、運動前に250~500mL、運動時には500~1000mLを、1時間に2~4回(1回200~250mL)に分けて飲むのがおすすめです。

水分補給は運動をして喉が渇いた時に行いがちですが、運動前からしっかり水分補給を行うことが熱中症予防では重要になります。

<1回9口を目安に飲もう>
とは言え、スポーツ活動中にどのくらい水分を補給したかを、本人が正確に把握するのは難しいでしょう。

人の1回の嚥下量は一般的に20~30mLとされています。水筒などで飲水量が分からない場合は、1回ごとに9口飲むと200~250mLになるので、「ごっ9(く)ん」と覚えておきましょう。

部活動や屋外で激しいスポーツをする場合は、失われた塩分を補給するために、麦茶や水よりもスポーツドリンクで水分を摂るほうが効率的です。

<運動前から飲むことが大切>
スポーツ活動中はただ水分を摂るのではなく、「適切」に摂ることが大切です。ポイントは「のどが乾いていなくてもこまめに水分を補給する」こと。加えて、「運動前」に飲むこともとても大切です。

熱中症予防での1回当たりの飲水量と頻度は、運動前に250~500mL、運動時には500~1000mLを、1時間に2~4回(1回200~250mL)に分けて飲むのがおすすめです。

水分補給は運動をして喉が渇いた時に行いがちですが、運動前からしっかり水分補給を行うことが熱中症予防では重要になります。

<1回9口を目安に飲もう>
とは言え、スポーツ活動中にどのくらい水分を補給したかを、本人が正確に把握するのは難しいでしょう。

人の1回の嚥下量は一般的に20~30mLとされています。水筒などで飲水量が分からない場合は、1回ごとに9口飲むと200~250mLになるので、「ごっ9(く)ん」と覚えておきましょう。

部活動や屋外で激しいスポーツをする場合は、失われた塩分を補給するために、麦茶や水よりもスポーツドリンクで水分を摂るほうが効率的です。

体の外側からの冷却とアイススラリー等による体内からの冷却で、効率よく冷やそう

体の外側からの冷却とアイススラリー等による体内からの冷却で、効率よく冷やそう

外側からの冷却とアイススラリー等による体内からの冷却で、効率よく冷やそう 外側からの冷却とアイススラリー等による体内からの冷却で、効率よく冷やそう

スポーツ活動中の熱中症対策とパフォーマンス維持のために体を冷やす方法は、大きく2つに分けられます。アイスパックなどを動脈に近い場所(わきの下、首筋、足のつけ根など)に当てて体の外側から冷やしたり、15℃程度の冷水に手のひらや前腕を浸す「外部冷却」と、冷たい飲み物などを摂ることにより体の内側から冷やす「内部冷却」です。

内部冷却には「アイススラリー」を取り入れるのもよいでしょう。アイススラリーは、効率的に内部冷却ができる飲み物としてスポーツ界で注目されています。液体に微細な氷の粒が混じったシャーベット状の飲み物で、マイナス1℃と低温なのが特徴です。細かい氷の粒に液体が混じった流動性のある飲み物ですから、体に浸透しやすく、体の内側から効率よく冷やせます。

さらに、スポーツ飲料などで作ったアイススラリーは糖質や塩分、ビタミンなどの補給も同時に行うことが可能。運動前や運動後はもちろん、日常生活の熱中症対策としても活用できます。

効率的に体を冷やすには、外部冷却と内部冷却を組み合わせるのがポイントです。

スポーツ活動中の熱中症対策とパフォーマンス維持のために体を冷やす方法は、大きく2つに分けられます。アイスパックなどを動脈に近い場所(わきの下、首筋、足のつけ根など)に当てて体の外側から冷やしたり、15℃程度の冷水に手のひらや前腕を浸す「外部冷却」と、冷たい飲み物などを摂ることにより体の内側から冷やす「内部冷却」です。

内部冷却には「アイススラリー」を取り入れるのもよいでしょう。アイススラリーは、効率的に内部冷却ができる飲み物としてスポーツ界で注目されています。液体に微細な氷の粒が混じったシャーベット状の飲み物で、マイナス1℃と低温なのが特徴です。細かい氷の粒に液体が混じった流動性のある飲み物ですから、体に浸透しやすく、体の内側から効率よく冷やせます。

さらに、スポーツ飲料などで作ったアイススラリーは糖質や塩分、ビタミンなどの補給も同時に行うことが可能。運動前や運動後はもちろん、日常生活の熱中症対策としても活用できます。

効率的に体を冷やすには、外部冷却と内部冷却を組み合わせるのがポイントです。

まとめ

まとめ

熱中症は暑くなり始める前からの準備が大切です。熱中症予防には今回ご紹介した暑熱順化を取り入れ、梅雨の時期から暑さに体を慣らしていきましょう。また、スポーツをする人は夏本番に向けて運動中の熱中症対策、水分補給のコツなどをしっかり身につけておきましょう。

熱中症は暑くなり始める前からの準備が大切です。熱中症予防には今回ご紹介した暑熱順化を取り入れ、梅雨の時期から暑さに体を慣らしていきましょう。また、スポーツをする人は夏本番に向けて運動中の熱中症対策、水分補給のコツなどをしっかり身につけておきましょう。

INFORMATION

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