[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

2016-05-25

マイナスの容量を持つボリュームを要求

先日、古い Mac OS のパッケージを廃棄するついでに、OS以外の古〜いMac用のソフトウェアもゴミとして捨てようとした時のこと。もう使うこともないかもしれないが、念のため一部のCD-ROMをイメージファイル化して保存しておこうと OS X El Capitan 10.11.4 の、生まれ変わったディスクユーティリティ ("/Applications/Utilities/Disk Utility.app") を起動した。 ところが……

空き領域が不足しているため、ディスク・イメージ・ファイルを作成できません。

と、怒られてしまう。保存先ディスクには必要量の26,000倍以上の空きがあるのに、何をトチ狂ったことを言ってるのだろう。

操作を続けるには、空き領域が -637.4 MB 以上ある別のボリュームを選択してください。

いやいやいやいや、ちょっと待て、マイナスの空き領域を持つディスクとか、どうやれば作成できるっちゅうんじゃい。もしできるなら、やり方を教えて欲しいものである。

おまけに、よく見るとディスクユーティリティの情報表示で、マウントされているボリュームの「使用状況:」の値が負の数になっている。そんなディスク常識的に考えて、あるわけないだろう。

試しに以前の(OS X Yosemite 10.10.5 に付属の)ディスクユーティリティを使うと問題なくイメージ化できた。容量表示がマイナス値になるようなこともない。

El Capitanのディスクユーティリティがイカレているとしか思えない。

アップルのサポートに電話してディスクユーティリティ空き容量判定がおかしくてイメージが作成できないんだけどなんとかなりませんか? と相談したところ、エンジニアに調べさせるからしばらく待ってねってことになったので、待ってる間にこちらでも問題の原因を探るためにdiscを詳しく調べてみた。

このイメージ化できないCD-ROMは、今は亡き、株式会社アスキーから発行されていたマルチメディア絵本『ウクレレマンとカエルとタイコ』の付録である。

手元にあるCD-ROMの中でも、ことのほか古く、Windows 95が発売される前の製品だ(動作環境: MS-DOS5.0以上、Windows3.1以上、漢字Talk7.1以降のシステムを推奨となっている)。

どうやら QuickTOPiX を使って作成された、共有データ部を持つ ISO 9660/HFS ハイブリッドディスクのようだ。

「QuickTOPiX」とか、昔、CD-ROMタイトル制作に携わっていた人は懐かしい響きだろう。私もその手の仕事を(も)していたことがある。

QuickTOPiXは、当時よく使われていたMac用のCDライティングソフトウェアで、価格は五十万円以上だったろうか。これと組み合わせて使っていたSONY製の業務用CD-Rドライブが百数十万円、マスタリングデータをプレス業者に渡すためにDLTを使っていてテープドライブが数十万円、消耗品であるCD-Rメディアも1枚3,000円くらい(今なら余裕で100枚買える金額)だったりしたものだ。

おっと、年寄りの昔語りが脱線してしまった。

調べてみると、このdisc、構造がややヘンテコリンではある。 当時のCD-ROM作成ソフトでは、ファイルシステムのCD-ROM向け最適化を人間様が気にかけて手作業でやらねばならんとか、いろいろと面倒で ISO 9660 と HFS 双方の規格についてある程度の知識がないと、パラメーターの調整が行き届かず、構造的に美しくないdiscを作ってしまうことがあった。

『ウクレレマンとカエルとタイコ』CD-ROMも、どうやらそういったあまり美しくないディスクの類だ。しかし、1995年以前の古い ISO 9660/HFS Hybrid CD-ROM では、無きにしも非ずなパターンである。構造的に美しくないからといって、内容の読み取りに特段の支障があるわけではない。

Macのストレージやファイルシステムに関するソフトウェアを書いたことがあるプログラマーなら、生まれ変わったディスクユーティリティがここでやらかしちゃってる、そこはそうやって計算しちゃダメだろうというコードの断片がイメージできるのではないだろうか。 Apple の担当エンジニアさん、古いディスクユーティリティを書いてたプログラマーに正しい処理の仕方を聞いてみるといいよ。そもそも、そんな計算、する必要がないことがわかるから。何が悪いのか分かったらソースコードをよく見て直してね。

この問題だけでなく、El Capitanのディスクユーティリティがひどいのには閉口している。

というわけで、アップルさんが、1日も早く、まともなディスクユーティリティを付けてくれることを願ってやみません。

ちなみに、このような古い形式のハイブリッドディスクは、今時の OS X では簡単には作成できない。作成可能であっても、最近のCD/DVD書き込みソフトは賢くて、すべて自動で最適化しちゃうので、ヘンテコリンな構造のディスクを作成するのは極めて困難である(わざわざ作ろうと思う人はいないだろうが)。


2016-06-09 アップルから回答があり、不具合として認知してもらえたようなので、修正されるのを楽しみに待つことにする。

0 件のコメント:

コメントを投稿