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heartbreaking.

中年の末路とその記録

帰郷は自分を弱くさせる

「家族こそ私の生きる力 他は塵と空気(映画「グラディエーター」より)」

2年と264日家族の下へ帰っていない主人公マキシマスとは違い、私は1年に3回故郷へ帰った。電話で済ませてもいいところだが、家族の言う「大丈夫」あるいは「なんとか大丈夫」な様子をこの目で直接見るまではけして信じてはいけないと思った。

あまり大丈夫ではなかったようで、今すぐ出稼ぎ労働を辞めて故郷での仕事を模索すべきだと自分を深く責めもした。

出稼ぎに行く決心をするのが遅すぎたのだ。高齢の親を置いて離れた地へ行くのはあまり良いこととは言えない。布団を被って目を閉じたまま何をする気力も湧いてこなかった。

一緒に過ごせなかった時間、それはお金と天秤にかけてよいものだろうかと葛藤した。

出稼ぎの土地に戻り、丸1日食欲もなく、仕事のこと、それと同時に年々弱ってゆく親のことを考えて過ごした。

しかし、それは一時の感傷だ。

人はいつか死ぬのだ。そして自分は死ぬ時はおそらく一人なのだ。だからこれ以上考えるのはよそう。なるようにしかならない、たとえ傍にいたとしても必ずしもそれが最善であるとは限らない。

故郷へ戻ればお金に苦労することは明らかで、私の選択肢は限られている。

大切なものを犠牲にすることを怖れていてはなにもできない。再び、歩き出そう…時には全力で走り出そう、それしか私に出来ることは残されていないのだから。