9月21日の新司法試験最終合格発表を控え、既に法務省のHPで発表されている短答式試験の結果発表などをもとに、新司法試験と旧司法試験の「格差」について検討してみました。
まず新試験のデータを以下に示します。
出願者数 2,125人(受験資格を得られなかった12人を除く)
実受験者数 2,087人(途中欠席4人を除く)
短答式試験合格者数 1,684人(合格率約80.7%)
合格ライン 210点/350点(正答率60%以上)
以前実施されたプレテストの短答式試験はかなりエグイ問題でしたが、本試験の問題は一見したところかなり平易化されており、出題形式や出題範囲の違いなどがあるので一概には言えませんが、少なくとも旧試験よりそれほど難しい問題であるとはいえないと思われます。その問題について、6割以上取れば択一試験は突破できるわけです。
そして、論文試験の合格者数は900人~1100人前後とすることが予定されているわけですが、これを約1000人と仮定すると、択一試験の合格者のうち、約6割が論文式試験に合格できる計算になります。
論文式試験の結果はまだ発表されていませんが、論文式試験の採点基準は旧試験・新試験いずれも「優秀」「良好な水準」「一応の水準」「不良」の4段階に大別され、その中で具体的な点数が付けられるわけですが、合格率6割ということであれば、「一応の水準」のうち上位4分の3程度に入れば合格できるという計算になります。点数でいうと800点中370点くらい、旧試験の水準に換算すれば40点中22点くらいになるでしょうか。
総合合格率は、合格者数1000人の場合47%程度になります。
次に、今年の旧司法試験のデータを示します。
出願者数 35,713人
(最終合格者数994人だった平成12年度とほぼ同水準。つまり、法科大学院の新設にかかわらず、旧試験の人気はさほど衰えていないということに注意!)
受験者数 30,240人
短答式試験合格者数 3,820人(合格率約12.6%)
合格ライン 46点/60点(正答率約77.7%以上)
従前の旧司法試験では、択一試験の合格ラインは約7割と言われていましたから、これは例年にくらべても相当高いレベルです。少なくとも、新試験の択一試験よりはるかに狭き門となっていることは間違いないでしょう。
そして、もともと合格率の高い口述式試験は検討から除外するとして、論文式試験の合格者数を仮に約600名とすると、合格率は約15~16%。
これは、前述した4段階のうち「良好な水準」の上位3分の1(40点中28~29点程度?)でないと合格できない計算になります。
22点と28点の違いは、旧司法試験の答案の採点をやったことのある人でないと具体的なイメージが沸かないと思いますが、黒猫の感覚でいうと、22点を付けるのは「一応答案にはなっているが、まだまだ勉強不足です」といったコメントを付けるレベルです。一方28点といえば、採点者も感心するほどの出来栄えで、優秀すぎてコメントでアドバイスすべきことがほとんどないというレベルです。
新試験の合格発表は9月21日(木)、旧試験論文試験の合格発表は10月6日(金)、口述試験合格発表は11月9日(木)なので、これらを経てすべてのデータが出揃わないと正確な論評はしにくいという問題はありますが、新試験と旧試験の合格水準にここまでの格差があると、おそらく新試験合格者の実力では今年の旧試験合格者には到底太刀打ちできないでしょうし、就職の段階では旧試験合格者が圧倒的に有利になると思われます。
しかも、新司法試験の1期生が司法修習を終えるのはたしか平成19年11月ころの予定で、旧試験の60期修習生約1500人が司法修習を終えて法曹界の人員が飽和状態になる時期のわずか2ヵ月後であり、ただでさえ新司法試験合格者の就職活動は大変厳しいものになることが予想されています。
それに加えて、新司法試験の合格水準が上記程度のものであるとすると、おそらく新司法試験合格者の大半は法律事務所に就職できず、単なる院卒扱いで一般企業に就職するしかないという事態になるのではないでしょうか。黒猫でさえ、こんな試験しか通っていない弁護士では、たとえ採用しても当分は免責審尋要員にしか使えないだろうし、給料も事務員の幹部レベルよりは低くせざるを得ないな、と思ってしまいます。
また、任官や任検にあたっては修習中の成績が大きく影響するので、少なくとも起案能力が旧試験合格者と同等以上のレベルに達していなければ、希望しても不採用になるのは目に見えていますし、旧試験合格者ですら学歴などで絞り込んで採用する大手渉外事務所は、よほど卓越した能力や特殊技能などが認められなければわざわざ新試験合格者を採用するとは思えませんから、よほど実力に自信がない限り、新試験合格者はこれらの進路は諦めた方がいいと思います。
新試験合格者の惨状は、いずれ社会問題としてニュースなどで取り上げられるようになるかもしれませんね。
まず新試験のデータを以下に示します。
出願者数 2,125人(受験資格を得られなかった12人を除く)
実受験者数 2,087人(途中欠席4人を除く)
短答式試験合格者数 1,684人(合格率約80.7%)
合格ライン 210点/350点(正答率60%以上)
以前実施されたプレテストの短答式試験はかなりエグイ問題でしたが、本試験の問題は一見したところかなり平易化されており、出題形式や出題範囲の違いなどがあるので一概には言えませんが、少なくとも旧試験よりそれほど難しい問題であるとはいえないと思われます。その問題について、6割以上取れば択一試験は突破できるわけです。
そして、論文試験の合格者数は900人~1100人前後とすることが予定されているわけですが、これを約1000人と仮定すると、択一試験の合格者のうち、約6割が論文式試験に合格できる計算になります。
論文式試験の結果はまだ発表されていませんが、論文式試験の採点基準は旧試験・新試験いずれも「優秀」「良好な水準」「一応の水準」「不良」の4段階に大別され、その中で具体的な点数が付けられるわけですが、合格率6割ということであれば、「一応の水準」のうち上位4分の3程度に入れば合格できるという計算になります。点数でいうと800点中370点くらい、旧試験の水準に換算すれば40点中22点くらいになるでしょうか。
総合合格率は、合格者数1000人の場合47%程度になります。
次に、今年の旧司法試験のデータを示します。
出願者数 35,713人
(最終合格者数994人だった平成12年度とほぼ同水準。つまり、法科大学院の新設にかかわらず、旧試験の人気はさほど衰えていないということに注意!)
受験者数 30,240人
短答式試験合格者数 3,820人(合格率約12.6%)
合格ライン 46点/60点(正答率約77.7%以上)
従前の旧司法試験では、択一試験の合格ラインは約7割と言われていましたから、これは例年にくらべても相当高いレベルです。少なくとも、新試験の択一試験よりはるかに狭き門となっていることは間違いないでしょう。
そして、もともと合格率の高い口述式試験は検討から除外するとして、論文式試験の合格者数を仮に約600名とすると、合格率は約15~16%。
これは、前述した4段階のうち「良好な水準」の上位3分の1(40点中28~29点程度?)でないと合格できない計算になります。
22点と28点の違いは、旧司法試験の答案の採点をやったことのある人でないと具体的なイメージが沸かないと思いますが、黒猫の感覚でいうと、22点を付けるのは「一応答案にはなっているが、まだまだ勉強不足です」といったコメントを付けるレベルです。一方28点といえば、採点者も感心するほどの出来栄えで、優秀すぎてコメントでアドバイスすべきことがほとんどないというレベルです。
新試験の合格発表は9月21日(木)、旧試験論文試験の合格発表は10月6日(金)、口述試験合格発表は11月9日(木)なので、これらを経てすべてのデータが出揃わないと正確な論評はしにくいという問題はありますが、新試験と旧試験の合格水準にここまでの格差があると、おそらく新試験合格者の実力では今年の旧試験合格者には到底太刀打ちできないでしょうし、就職の段階では旧試験合格者が圧倒的に有利になると思われます。
しかも、新司法試験の1期生が司法修習を終えるのはたしか平成19年11月ころの予定で、旧試験の60期修習生約1500人が司法修習を終えて法曹界の人員が飽和状態になる時期のわずか2ヵ月後であり、ただでさえ新司法試験合格者の就職活動は大変厳しいものになることが予想されています。
それに加えて、新司法試験の合格水準が上記程度のものであるとすると、おそらく新司法試験合格者の大半は法律事務所に就職できず、単なる院卒扱いで一般企業に就職するしかないという事態になるのではないでしょうか。黒猫でさえ、こんな試験しか通っていない弁護士では、たとえ採用しても当分は免責審尋要員にしか使えないだろうし、給料も事務員の幹部レベルよりは低くせざるを得ないな、と思ってしまいます。
また、任官や任検にあたっては修習中の成績が大きく影響するので、少なくとも起案能力が旧試験合格者と同等以上のレベルに達していなければ、希望しても不採用になるのは目に見えていますし、旧試験合格者ですら学歴などで絞り込んで採用する大手渉外事務所は、よほど卓越した能力や特殊技能などが認められなければわざわざ新試験合格者を採用するとは思えませんから、よほど実力に自信がない限り、新試験合格者はこれらの進路は諦めた方がいいと思います。
新試験合格者の惨状は、いずれ社会問題としてニュースなどで取り上げられるようになるかもしれませんね。
ウチのような地方でも59期の登録者数が例年の3~4倍となり、需要が全て埋まってしまいました。
こんなに来るとは・・・都会じゃ吸収できないんだ・・・という感じです。
まさに国が企図した弁護士の競争社会到来です。
は最近の灯台ではなかなか居ないです。
例えば警察庁なんかは検察との対抗意識なのか、
上記のダブル合格者を好んで取りますが、
数年前に自分が官庁訪問した時は、
内定者にダブル合格はゼロでした。
両訴選択になって以降はダブル合格は
相当きついと先輩たちも言ってました。
今の東大の在学生達に聞いてみても、
旧試験で1,2留しても粘る、という
人は激減しているように思います。
この分析には、今の東大法学部4年生が
現実にローを選んでいるのかそれとも
旧試験で粘る人の方が多いのかの、
客観的なデータが必要だと思いますが。
そうじゃないとどうしてもバイアスの
かかった結論先にありきの議論に見えます。
現実に、大手渉外は東大法→東大ローの
ストレート組の中で、特に優秀な集団には
早速囲い込みかけてますし、
「お前らなんか絶対就職できねーよ!」
と乱暴に一括して言われても
どうも同意できないというか(苦笑)。
6科目の論文を全て28点で揃えたら168点ですが、この得点なら上位600どころか上位100に入るんじゃないかと思います。
もう少し勉強しましょうね
数だけで比較するなんて小学生でもできますよww
まぁこういう考えもあるわな(苦労したのだろうね、きっと)。
一方でサマクラでロー卒をかなり評価してる事務所もあるし。
結果を見てから、10年後に判断できるってカンジだと思うな。
383 名前:氏名黙秘 投稿日:2006/09/15(金) 12:18:04 ID:???
正直俺が訪問した事務所はだいたいロー生に好意的だったな
一回サマクラで行った事務所で検討会みたいなのがあって
ロー生5人、修習生2人だったけど
ほとんどロー生しか議論に参加できてなかったしww
これが、旧試験の弊害かと思った
俺もローに行ってなかったらもう少し早く法曹になれただろうけどまともに議論できなかったと思う
旧試験受験生は6科目ですが、私は6科目は勿論相当な量のペーパーを読みましたし、行政法や選択科目でも頑張りました。
就職が厳しいのはロー生の責任ではないのに、記事での発言は間違っていると思います。
要件事実だって旧試験受験生は理解できていない人が多いときくのが信じられません。
採点基準だった、おそらく「大学院」を卒業した人に対しての方が厳しいでしょう。
厳しく採点されるのに、点数が低い=出来が悪い、とはなりませんよ。
現状に対して理解が浅いといわざるを得ないと思いました。
異常な試験。択一と論文に同時に精力を注がなければならない。
旧司法とは科目数も、試験時期も全く違うのだから比較なんか出来るはずが無い。