1 Weeks to Go.
いよいよ2024年、国内最後となるボクシング興行まであと1週間です。
そして今年もまた、国内ボクシング興行の最後を飾るのは井岡一翔。
前戦で敗れた井岡がダイレクトリマッチに臨む一戦は、前戦の試合内容からして厳しい戦いが予想される一戦です。
ということで今回のブログは、フェルナンド・マルティネスvs井岡一翔、Life Time Boxingのプレビューです。
12/31(火)大田区総合体育館
WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)17勝(9KO)無敗
vs
井岡一翔(志成)31勝(16KO)3敗1分
世界4階級制覇王者、井岡一翔。
2009年にプロデビューし、2年とたたないうちにWBC世界ミニマム級タイトルを奪取した当時20歳の俊才ももう35歳です。
大晦日興行は井岡一翔の定位置として認知され、これまで数々の強豪を退け、井上尚弥が世に登場するまで日本のボクシング界を引っ張ってきてくれたボクサーです。
長く地上波で戦っていたことから、一般への認知度も相当なものであり、そのボクシングは緻密で、身体能力に頼らないことから多くのボクサーたちが憧れ、参考にする存在でもあると思います。
それは35歳になった今でもしっかりと力を有しており、身体的な衰えこそあろうもののそれを感じさせないインテリジェンスなボクシングが証明しています。
しかし、この戦いはかつてないほど厳しい戦いである、と言えます。ただ、井岡がフェルナンド・マルティネスに勝てないか、というとそうは思いません。
王者、フェルナンド「プーマ」マルティネスの強さはすでに世に知らされた通りです。
2022年、当時のIBF世界スーパーフライ級王者、ジェルウィン・アンカハスに挑戦したプーマ・マルティネスは、まだ全くと言って良いほど謎の存在でした。一度は井岡との王座統一戦が決まっていたアンカハスは、コロナの影響で来日が不可となり、その後マルティネスを挑戦者に選んで防衛戦。
当時はまだ無名だったマルティネス相手にはほとんど調整試合の雰囲気が強く、この試合に勝って来日、井岡との王座統一戦に臨むものだと思っていました。
しかし、ここでアンカハスはまさかのアップセット負け。
それでもまだマルティネスの実力は疑問符がつくところで、アンカハスが舐めていた、モチベーションが低下していた、はたまた減量苦、色々なことが囁かれていましたね。
しかし再戦ではさらに明確に勝利したマルティネス、その攻撃的なボクシングで2度目の防衛戦ではフィリピンの無敗プロスペクト、ジェイド・ボルネアを11RTKOで降します。
そして結局のところ、マルティネスが今の評価を手に入れたのは、今年の七夕、井岡一翔に勝利したからです。
ジャッジの1人がフルマーク、というのはあり得ない話のように思いますが、ともかく文句なしの勝利でした。
具体的にマルティネスがどのように井岡を上回ったのか。
それは打撃戦の展開に持って行けたこと、アッパー、クロス気味の右ストレートが非常に効果的だったこと、そして回転力で上回れたこと。
元々ハイガードな井岡ですが、真ん中が空いているスタイルであり、あの日はいつもより若干距離が近くも感じました。これは、井岡が昨年の大晦日に続いてノックアウトを意識していたからかもしれないし、マルティネスのスタイルにいつもの距離をキープできなかったからなのかもしれません。
初回、ボディでマルティネスが露骨に嫌がったことが、井岡を攻撃的に「させてしまった」からなのかもしれません。
そしてもう一つ、意外なことにマルティネスが超がつくほどの試合巧者であり、ボクシングというものを非常にクレバーに分析しているボクサーだったこと。
パンチをまとめるタイミング、攻撃されてもされっぱなしにならず、必ずと言って良いほど自分が打って終わること、これはナチュラルにやっていることかもしれませんが、間違いなくそういう練習をやっている、ということです。マルティネス本人だけでなく、おそらく陣営が非常によくわかっている。
さらに当て勘がよく、絶妙なポジショニング(足を置く位置)も素晴らしかったのがマルティネス。
フィジカル、パンチの回転力、そして当て勘。これらはおそらくナチュラルにマルティネスが上回る部分であり、戦い方という面でもマルティネスに軍配が上がった、だからマルティネスの完勝だった、ということができるのだと思います。
では、このことを考えた上で、井岡が「再戦で」マルティネスを攻略できるか。
言うまでもなく、井岡一翔というボクサーはインテリジェンスの塊です。
それは、目に見えるパワー、スピードというものは世界トップクラスではないものの、素晴らしいタクティクス、ハートの強さ、クレバネス、反復したトレーニングで積み重ねた美しい所作、そういったもので4階級を制覇したボクサーだからです。
おそらく当初から再戦を目指した井岡は、5か月にわたりフェルナンド・マルティネスを研究し尽くしてきたはずです。
物凄くシンプルに考えれば、もう少し距離を遠くして、アッパーと右クロスを警戒し、しっかりとジャブを当てる。その中で、ボディショットを軸としてコンビネーションを打って離れる。
マルティネスに自分のペースでボクシングをさせれば、というのは前戦を見ての通りなので、そこのペースに乗らないこと、そしてマルティネスのペースを崩していくことを前半にやれば、井岡らしく後半にかけてチャンスが来るのではないかと思います。
とまあ、言葉で言えば全くもって簡単なことを、井岡一翔らしくやるというのがミッションになってくると思います。とにかく前半からマルティネスを波に乗せないこと。
井岡一翔の「再戦」における強さを、我々日本のボクシングファンはよく知っています。
そしてここからは戯言ですが、井岡が再戦でマルティネスに勝つ追い風になりそうなことを並べ立てておきます。ただの希望的観測です。
まず、マルティネスは完全な陽キャなので、一度勝った相手に対して前戦ほど真剣に取り組んでこないのではないか、ということ。ほぼ偏見ですが、中南米のボクサーには多いことです。
そして、初戦の井岡はやや強引なところがあり、これまでとは少し違って「アピール」を考えていたと思います。先を見て足元が疎かになる、は誰にでもあることでしょうが、今回は一度負けた相手だからこそその懸念はないでしょう。勝ちに徹したボクシングをしてくれるはずです。
そして、会場が前回の両国国技館から、いつもの大田区総合体育館になること。これだって、井岡にとってマイナスにはなりません。
ここに勝てばジェシー・ロドリゲスの標的になります。
マルティネスにとってはこの試合でビッグマネーを稼ぐことができ、さらにその先にバム・ロドリゲス戦で稼げるとなれば夢は膨らむでしょう。
そして井岡にとっても、追い求めてきたエストラーダを倒したバムは戦いたい相手の1人のはず。
どうにかここは踏ん張って、井岡に勝利を手にしてほしい。
↓初戦の観戦記
堤駿斗(志成)5勝(2KO)無敗
vs
レネ・アルバラード(ニカラグア)34勝(22KO)14敗
WBA世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦、ということだそうですが、このように無理やり「挑戦者決定戦」なんてものをつけるとボクシングファンの反感を買うだけですね。
前戦で計量オーバー、たった半年のサスペンドを受けての復帰戦でいきなりのチャンス、というのは、他の同階級のボクサーたちを思えばちょっと気の毒です。
ともあれ、この「WBA」という団体の「挑戦者決定戦」などという胡散臭いものは、別に次戦で世界に挑戦できるわけでもありませんから、あってないようなもの。もはや「嘘」と言っても良いレベルのものです。こういう無駄なハク付けはボクシング競技を貶めるだけのものだと思うのですが、なんだかABEMAが絡むとこういうのが多い気がします。
さて、レネ・アルバラード。元世界王者で、2019年にアンドリュー・カンシオ(アメリカ)に勝利して世界初戴冠。フェリックス・アルバラードの兄弟ですね。
初防衛戦でロジャー・グティエレス(ベネズエラ)に敗れてからは良いところがなく、レイモント・ローチ(アメリカ)、ウィリアム・セペダ(メキシコ)、マーク・ウラノフ(ロシア)らに敗北。
世界王座陥落時からは8戦して2勝6敗という戦績で、残念ながらもう落ち目であることは明白です。
この試合が報じられた時、「アルバラードは強敵」「危険」「戦績に騙されてはいけない」みたいな意見をいくつか見ましたが、堤がアルバラードに負ける姿は全く想像できません。
というのも、アルバラードはやはりエリートクラスではなく、打撃戦には強いしセペダと10R戦うぐらいタフであるけれども、特にスピードや技術のある相手に弱いと思います。アルバラードでは、堤についていけないでしょう。
堤がアルバラードと正面切って打ち合うか、というとそんなはずはないでしょうから、普通に考えれば堤の判定勝利が妥当なところ。
なので必然、このアルバラードを倒せるか、というのは一つの焦点です。
過去の過ちを試合で挽回する、というのであれば、やはりこの14敗もしているくせに1つしかKO負けがない、そうはいっても衰えてはきている元世界王者をノックアウト、これが堤に望むところです。
きっとABEMAの放送ではアルバラードを持ち上げて煽るのでしょうね。。。できれば海外放映版を見たいのですが、残念ながらABEMAのボクシングは他国では放映されていません。
ともあれ、堤の快勝、圧勝を期待したいところ。
アンダーカードと配信情報
とまあ、ABEMAの文句で終わってしまいましたね。じゃあ見るなよ、と思ったそこのあなたは正論ですが、そうは言ってもボクシングが好きなので見ます。
ライブ配信を見ているとストレスが溜まるので、もちろんABEMAプレミアムに入ってディレイです。煽りVも実況も解説もいらないので、試合だけ延々と流してほしい。。。w
さて、アンダーカード。
我らが木村吉光(志成)が復帰戦。前戦で負けたわけではないですが、救急搬送?だったかで坂晃典(仲里)戦が飛び、なんだかんだ1年4ヶ月ぶりのリングですね。
鈴木雅弘(角海老宝石)も登場、こちらは宇津木秀(ワタナベ)戦の黒星からの復帰戦です。稔弘(志成)の方じゃないんですね。この他に予備試合を含めて5試合、試合数は結構あります。
試合開始は16:00、配信開始は15:00ということでいつもながらに謎の1時間がありますが、セミが19時、メインが20時くらいでしょうか。
大晦日なのでライブ配信にこだわらず、ディレイで良いと思います。そうなるとABEMAプレミアムは必須です。
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