電力会社が、原子力発電所の情報の公開範囲を狭めている。東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえてつくられた新規制基準にテロ対策が盛り込まれたためだが、規制当局が非公開を求めていない範囲まで制限する動きもある。テロ防止を念頭におく特定秘密保護法の運用内容が決まっていないだけに、電力会社はどこに公開と非公開の線を引けばいいのか迷っている。 ■東電、ベント非公開を決定 東電は昨年末、柏崎刈羽原発(新潟県)の原子炉格納容器につながる排気設備「フィルター付きベント」の非公開を社内で決めた。工事中の様子を報道に公開したことはあるが、今後は原則として取材や視察にも応じないことにした。 ベント設備は、東電福島第一原発の水素爆発を踏まえ、昨年7月に施行された新規制基準で設置が義務づけられた。事故で発生する放射性物質の拡散を抑える重要な設備だ。 東電が非公開にしたきっかけは、昨年12月18日の原子力規制委員会の