縦24センチ × 横18センチ 深さ38ミリの金属製のふたを開けると グッと圧縮されて隙間なく、 たとえば、いまここで、 この弁当箱を裏返したとしても 落ちることのない御飯が、 目の前、水平に詰まっている。 真っ白なごはんのひろがり。 その、ほぼ中心に位置し これまた圧縮されながらも、 小円をなし、いくつもの皺をたくわえて紅一点 やや大きめの梅漬けがひとつある これがいわゆる、 し・ろ・じ・に・あ・か・く、の王道。 日の丸弁当である。 黙って無造作に・・・ ふた裏についた飯粒を丹念にひろいながら 本体の四隅に目を配る。 箸を振りあげて迷わず まず、弁当箱の左下の隅あたり、 大胆に突き刺し、口に一気に押しこむ。 午前の疲れ伴って、 口のなか、まだ乾いてままならず、 手こずりながらも、 顎と首を強引にせりだして、 力ずくで飲みこみ胸を隆起させ 苦しさの内にも、腹の底にドンと沈むと しばし落ちつ