今回は『マンガに、編集って必要ですか?』をレビューします。崖っぷち中堅漫画家と、女性ファッション誌から異動してきた新人編集者の、ガチな仕事漫画です。著者は青木U平(あおき・ゆうへい)さん。新潮社「くらげバンチ」での連載作品で、2019年の末に完結、単行本は全3巻が刊行されています。 『マンガに、編集って必要ですか?』作品紹介 作品の詳細を見る 完結『マンガに、編集って必要ですか?』 全3巻 青木U平/新潮社 『マンガに、編集って必要ですか?』を試し読みする まるで「もう編集者は不要」みたいなタイトルだけど……? 本作の主人公は、漫画家・佐木小次郎(さき・こじろう)45歳。青年誌でキャリア8年の中堅、と言えば聞こえはいいけど、最近の作品はどれも2~3巻で打ち切られている、売れない作家。かなり崖っぷちな状態です。 そんな佐木の担当編集は、女性ファッション誌から異動してきたばかりの、坂本涼(さか
《この記事は約 12 分で読めます(1分で600字計算)》 共同通信や産経新聞などによると、自民党文部科学部会などの合同会議が2月25日に開催され、海賊版対策の「ダウンロード規制法案」を了承したという。本稿では、そもそもこの「ダウンロード規制」はどういう目的で導入されようとしているのか? 現行はどういう制度なのか? それがどう変わろうとしているのか? などについて、改めて、なるべくかみ砕いて解説する。 「ダウンロード規制法案」とは? 共同通信や産経新聞などの言う「ダウンロード規制法案」というのは、ちょうど1年前に「スクショ違法化?」と大騒ぎになり、国会提出が断念された著作権法改正案の修正版のこと。前回は、日本漫画家協会や出版広報センターなど権利者側からも、表現活動の萎縮を懸念する声が挙がっていたが、再募集されたパブリックコメントや検討会などを経て修正が入ったことにより、今国会で成立する可能
《この記事は約 6 分で読めます(1分で600字計算)》 楽天株式会社は昨年12月25日、子会社で電子図書館プラットフォーム世界最大手である OverDrive Holdings, Inc. の全株式を、アメリカ最大手のプライベートエクイティ投資会社のKKR(コールバーグ・クラヴィス・ロバーツ)に譲渡する契約を締結したことを発表した。KKR側の意図については、すでに大原ケイ氏が解説しているが、では、日本で展開されている電子図書館事業「OverDrive Japan」はどうなるのか? 本稿ではこれまでの振り返りと、今後の展開について考察する。 関係性明示 本稿で言及している株式会社メディアドゥの親会社である株式会社メディアドゥホールディングスは、当メディアにもバナーを貼っているとおり、NPO法人HON.jpの法人会員です。年会費をお支払いいただいている関係ではありますが、当メディアの編集権は
今回は漫画『アニメタ!』をレビューします。アニメ制作会社の過酷でリアルな現実を描いた、ど根性お仕事系の作品です。著者は花村ヤソ(はなむら・やそ)さんで、10年ほどアニメーターをしていた経歴の持ち主。講談社「モーニング・ツー」で連載中、単行本は5巻まで刊行されています。 『アニメタ!』作品紹介 作品の詳細を見る 『アニメタ!』 1~5巻 花村ヤソ / 講談社 『アニメタ!』を試し読みする アニメーターになる夢が叶った、のだけど… 本作の主人公は、真田幸(さなだ・みゆき)。あるアニメに感動し、テープが擦り切れるほど観て、アニメーターになる夢を抱きます。そのアニメの監督が所属していた制作会社の新人募集に応募し、実技はヘタなのに履歴書に書いた「柔道二段」などが奏功(?)して、みごと合格します。それが第1話。 つまり、夢が叶ったところから物語が始まるわけですが、もちろんそこからが本番。真田には、とに
《この記事は約 15 分で読めます(1分で600字計算)》 新年あけましておめでとうございます。 2020年も HON.jp News Blog をどうぞよろしくお願いいたします。 毎年恒例、編集長 鷹野凌による出版関連の動向予想です。 2019年の予想と検証 2019年正月の予想は以下の5つ。自己採点の結果を右端に付けておきました。 メディア自体の信頼度がより一層問われるようになる → ○ 既刊も含めた書籍の電子化率が高まる → △ マンガ表現の多様化が進む → × 学校や図書館向けの電書供給が本格化 → △ オーディオブック市場の拡大が本格化 → ○ 検証の詳細は、大晦日の記事をご覧ください。過去の予想と検証は、以下の通りです。 2018年予想・検証 2017年予想・検証 2016年予想・検証 2015年予想・検証 2014年予想・検証 2013年予想・検証 マクロ環境分析 こういった
《この記事は約 11 分で読めます(1分で600字計算)》 HON.jp News Blog 編集長の鷹野が、2019年の年初に書いた出版関連動向予想を検証しつつ、2019年を振り返ります。 2019年概況 まず、2019年の概況から。出版科学研究所が年末に発表した2019年通年の紙の出版物推定販売額は、1兆2400億円という予測になっています。コミックスを含む雑誌は5600億円前後、書籍は6800億円弱で、書籍と雑誌の販売額差は1200億円程度にまで広がっています。 雑誌市場のピークは1997年の1兆5644億円で、約3分の1に。書籍市場のピークは1996年の1兆0931億円で、約3分の2になっています。また、金額返品率は1月から11月の累計で書籍が35.9%(0.5ポイント減)、雑誌が43.3%(0.8ポイント減)と、2018年よりは改善しています。 なお、ここまでの数字はすべて伝統的
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