米国のアパレル生産業界にとって、この1年半は長く厳しいものだった。サイクルウェアメーカーKitsbow(キッツボウ)の元最高経営責任者(CEO)でビジネスアドバイザーのデービッド・ビルストロームによると、過去1年5カ月で23の米アパレルブランドが廃業し、そのほとんどがKitsbowやNutmeg Needleworks(ナツメグ・ニードルワークス)のような中小企業だった。一体、何が起こっているのか。 直接的な原因は、1930年に成立した米関税法(スムート・ホーリー法)の非課税基準を定めているデミニミス・ルール、具体的にいうと中国発のTemu(ティームー)やSHEIN(シーイン)のような企業による同規定の悪用だ。この規定は800ドル(約12万6000円)未満の小包の関税を免除するもので、前述の2社のような国外のD2C小売企業は関税を免れ、米国メーカーの競争力を削ぐことができる。 こうした状況