≪「権勢」を奮う心構え≫ 先刻、習近平中国国家副主席の訪日に際して、外国賓客接遇に関する「1カ月前告知ルール」と呼ばれる慣習が破られる体裁で、天皇陛下との会見が設定されたことは、鳩山民主党主導内閣による「天皇の政治利用」という趣旨の疑念を噴出させた。ただし、此度の紛糾が問い掛けているのは、実は、鳩山由紀夫総理や小沢一郎民主党幹事長のように、民主党主導内閣を差配している人々が、どのような意識の下で自らの「権勢」を奮っているのかということである。 そもそも、日本は、民主主義国家ではあるけれども、その国制は、「共和制」(republic)ではなく、歴然とした「立憲君主制」(constitutional monarchy)に他ならない。故に、「君主制」と「民主主義体制」の微妙な均衡の下に成っているのが、日本の政治体制である。「民主主義国家」と「立憲君主国家」の2つの相貌(そうぼう)を併せ持つ日本に