初音ミクをはじめとするヴォーカロイドの「声」は基本的にはヒトの声をシミュレートしたものだという印象がある。実際、音源はヒトの声をサンプリングしたものだし、できるだけヒトの声を再現するという方向で開発されたものだと思う。だが、「ぼかりす」の登場とその後の状況を鑑みると、どうもヒトの声に近づければいいというものじゃないのか、という気もしてきた。ヒトらしい歌い方を実現するためのシステムとして開発されたという「ぼかりす」は各方面に衝撃を与えたし、実際に公開されたサンプルを聞くと確かにそれらしい歌い方が実現できている。最近は巡音ルカ版もニコニコ動画にアップされていて、演歌の節回しを器用にこなしていた。だが、その「ヒトくささ」は果たしてヴォーカロイド系の楽曲の全てにおいて望まれる方向なのだろうか。 生身のヒトの声とは違う「不器用」さ、「機械っぽさ」は「ヒトならざるものとしての声」としてある種の独立した