「人が人を操るということ。それが過激化した末にどうなるかを描きました。“食”を主軸に据えたのは、食べるという行為は、とても個人的なものであると同時に、社会的なルールに強く縛られる行為でもあるから。人間としての根源を持ちながら、社会の中で生きる私たちを象徴的に表す要素になると思ったんです」 ハウスナーさんの前作『リトル・ジョー』は、人を幸せにする香りを持つ植物が登場するスリラー。人間にとって幸せとは? 客観的事実と人々が望む真実の関係は? を問う作品だった。これは今作にも共通すると指摘すると、笑って頷いた。 「そう、実のところ私は、毎回、同じ物語に繰り返し挑んでいるのかもしれません(笑)。つまり、“見えざるモンスター”に。じゃあ、それで何を伝えたいのかと言えば、いかに私たちが正しいことと間違ったことの間の世界で生きているのかということです。多くの人がそこから目を背け、できれば自分だけは常に正