経済を知りたい、学びたい一番の理由は、景気を良くできたら、成長を高められたらとの想いではないか。しかし、机上の経済学は、技術を向上させるべきだ、人材を開発すべきだと、当然のことをのたまうくらいで、むしろ、政策によって伸ばすことは難しいとしたりする。あたかも、結核の患者に、特効薬を望んではいけないと説き、栄養と休養が大事と言うかのごときである。正しくはあっても、救われる気がしない。 ……… 実際には、政策の良し悪しはある。例えば、アベノミクスでは、現実の成長率を毎年1%程上乗せすることは、十分に現実的な選択肢であった。理由は明確で、毎年1%程の緊縮財政を敷き、需要を吸い上げ続けてきたからだ。財政が需要を出せば、その分、経済は大きくなるという単純な理屈である。実際は、そこまで安易な足し算ではないにせよ、イノベーションで成長率を1%上乗せするという主張より、遥かに確実性がある。 問題は、そうした