ケーブルカーというと、単線で途中にすれ違い区間を設けた線路を思い浮かべる人が多いだろう。しかし全国で唯一、「複線」で運行されているケーブルカーがある。しかもそのケーブルカーには、自動車が通行可能な踏切もあるという。 その珍しいケーブルカーは奈良県にある。近畿日本鉄道が運行する生駒鋼索線、通称「生駒ケーブル」だ。同路線は生駒駅(近鉄奈良線・生駒線・けいはんな線の電車が停車)に隣接した鳥居前駅から生駒山上駅までを結ぶ2.0kmの路線。途中の宝山寺駅を境に運転系統が分離されており、鳥居前駅側が宝山寺線、生駒山上駅側が山上線となっている。全区間を乗り通すには、列車2本を乗り継がなければならない。 この2本のうち、ケーブルカーとしては珍しい「複線」を持つ路線は宝山寺線だ。ただし、ここまで「複線」と書いてきたけれど、正確には「単線並列」の運行形態で、単線の途中にすれ違い区間を持つ線路を2本並べて運行し