誕生日には携帯型ゲーム機を買ってくれた優しいお母さん――。11歳の目にそう映っていた母親(42)が、我が子の命を奪おうとした。何が母を追い詰めたのか。 新潟地裁101号法廷。身長150センチほどの小柄な女性が裁判員らの前に現れた。黒いスーツに身を包み、背中まで伸びた茶色の髪は一つに束ねていた。 被告は3月、新潟県上越市の自宅で小学5年生の次男の首をロープで絞め、無理心中を図ったとする殺人未遂の罪に問われた。心中は中学1年の長男に止められ、失敗に終わった。 検察官が起訴状を読み上げる。被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。か細くも、落ち着いた声だった。 検察と弁護側の冒頭陳述から事件をたどる。 被告は2000年に結婚したが、03年に次男が生まれる直前に離婚。2人の子を引き取り、実家の敷地内の離れで3人で暮らしていた。 介護の仕事を始めたが、他人とうまく話せないことから2年半ほどで辞め