◇行政不信、今は後悔 お茶漬けのりを湯でといただけのスープが少女の最後の食事だった。岡山県倉敷市の中庄団地の真新しい県営住宅。02年9月23日、住民から「1階から異臭がする」と通報があり、県警倉敷署員が駆け付けた。布団の上で飯島陽子さん(当時11歳)が餓死していた。地元に住民票がなく、学校に通っていない「消えた子」だった。室内では母、由美子さん(58)も栄養失調で衰弱しきっていた。 由美子さんは夫と離婚後、陽子さんと2人で全国を転々とした。団地で暮らし始めたのは同年6月下旬。1人で暮らす男性(当時78歳)と公園で知り合い、転がり込んだ。しかし、7月2日になって男性が入院。所持金が底を突き、室内にあった缶詰などでしのいだが、それもなくなった。衰弱した陽子さんは8月中旬以降、固形物を食べられなくなり、ハチミツをなめたり氷をかじった。 9月9日、民生委員が男性に敬老祝いの記念品を持参したが、由美