かつて「プッシュ」ということばがインターネットの世界で流行したことがあった。1990年代後半のことである。 「プル」というのは、ユーザーが要求を送信して初めて、情報が送られてくる情報配信の仕組み。「プッシュ」はその逆で、サーバの側が一方的に情報を送り出し、端末に表示してくれる仕組みのことだ。プル型のメディアであるウェブブラウザに対して、当時、「これからは情報がユーザーに自動的に送りつけられてくるプッシュの時代が来る」とさかんに言われた。 プッシュの代表的なサービスだったのが、PointCastである。サービスインは1996年。無料配布されていたプログラムをパソコンにインストールすると、デスクトップ画面下部にニュースや天気予報、株価などのコンテンツが自動的に電光掲示板的に表示される。まだアナログモデムやISDNの回線が当たり前で、ネットのコンテンツも乏しかった当時、PointCast経由で流