最近、日本がいかに素晴らしい国か、他国より優れているかという自画自賛の文を目にすることが多くなった。しかしこれは自尊心を刺激するだけで現実に役立つものが何もない。しまいには願望と虚構でしかない自画像が一人歩きした国粋主義に陥る。七十年前にはこうして現状分析ができなくなり 外交・軍事で完敗したのではないか。 現実に基づいた自画像を描くこと=自分が何者かを知ること=は自立の基礎で、個人・集団・国のいずれにも必要なことだが、近年随分粗末にされている。かつては日本でも「己を知る」ことは自明な価値だったはずなのに。 日本がイギリスから学ぶことはまだ多いが、自画像の描き方はその一つだろう。イギリスでは、小学生の頃から自分は何者であるかを徹底的に考えさせる。的確な自画像は個人の自立に不可欠であり、自立なくして英社会での成功はありえないからだ。そしてこの延長線上に、組織や国の自画像がある。イギリスの基本的