京都アニメーション放火殺人は芸術の破壊、アート・ヴァンダリズムと呼べる大量殺人をともなうアート・ヴァンダリズムは世界でもほとんど類例がなく、この事件の特異性を示すこの事件を引き起こした青葉容疑者の強い殺意には、京アニ作品の美しさへの憎悪がうかがえる 内戦やテロといった暴力を研究してきた筆者にとっても、京都アニメーション放火殺人事件の衝撃は大きかった。34人が殺害されたこの事件は、大量殺人と芸術の破壊が同時に行われた、世界でもほとんど例のないものといえる。 テロとは呼べない この事件をどのように捉えればよいのか。 放火殺人であることは間違いない。しかし、よくある「ストレス発散のため」といった動機づけの放火事件とは比べものにならない強い殺意と憎悪がうかがえる。また、その死者数が平成以来で最悪というほど、規模が大きい。 ただし、しばしば使われる「テロ」という表現は適当ではない。以前に述べたように