これまで国内で世界遺産登録された地域では、観光客の増加により、交通渋滞や環境破壊など“負の遺産”をもたらした側面もある。富士山における環境保護と地域活性化の両立は、これから正念場を迎える。 数多くの合掌造りの建物が保存され、平成7年に世界遺産登録された岐阜県白川村の白川郷。村によると当時、遺産地区内の駐車場は1カ所で、計14台分だけだった。このため休日は大渋滞が発生。一部の住民が無許可で田畑を埋め立て、観光客用の駐車場に転用した例もあり、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」関係者から「景観を損ねる」と改善を求められたという。 県と村では16年度から田畑を借り受け、村などが出資する財団が所有者に代わって維持・保全を行う対策を開始。来年4月をめどに遺産地区周辺の駐車場と集落をバスで結び、車の乗り入れ規制を強化する方針だが、村の担当者は「遺産登録の後にみやげ物店を始めた住民もいる