イラク自衛隊派遣中の事故の責任を問い、国を訴えていた元自衛官が、違法捜査で逮捕・起訴される…そんな気味の悪い事態が進行中だ。これは、些末な刑事事件なのか、それとも安保法制の運用にも影響を与えうる告発を権力が潰しにかかっているのか。渦中の元自衛官とその弁護士に話を聞いた。 ○国賠訴訟直前の逮捕、違法捜査での基礎今回、逮捕・起訴されたのは池田頼将さん。2006年に自衛隊イラク派遣で、イラク隣国クウェートに派遣された元航空自衛官だ。同年7月4日、池田さんは米軍関係車両にはねられ、その後、適切な治療を受けられず、帰国もできなかったため、後遺症が残ったとして、目下、国の責任を問う、国賠訴訟で係争中だ。その池田さんが、突然、愛知県警に身柄を拘束されたのは、昨年11月19日のことだった。容疑は「窃盗の共犯」。池田さんの友人M容疑者がスーパーで衣料品等を万引きしようとして、店員に取り押さえられた事件(商品