世界中を混乱と恐怖で覆っている新型コロナウイルス。感染拡大を防ぐために人びとの生活は大きく変わった。緊急事態宣言が発令されたことによる自粛生活によって、対面でのコミュニケーションが減り、代わりにインターネットを使ったオンラインでの活動が活発になった。それに伴いSNSの利用も急増したが、自粛期間中にその功罪ともいえる2つの象徴的な出来事が起きた。 ひとつは検察官の定年延長を可能にする「検察庁法改正案」に対する反対運動だ。著名人を含む、それまで政治的な発言をしてこなかった多くの人々が声を上げ、反対世論に押し切られる形で、政府・与党は法案の今国会での成立を見送った。そして、もうひとつは人気リアリティー番組『テラスハウス』の出演者である木村花さんの死だ。生前、木村さんがSNSで激しい誹謗中傷にあっていたことがわかっている。 自らもネットメディアを率いる評論家の宇野常寛氏は、著書『遅いインターネット