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諸橋轍次博士の序文
序 東洋の文化は、その大半が漢字漢語によって表現せられている。それは文芸に於ても思想に於ても、将た... 序 東洋の文化は、その大半が漢字漢語によって表現せられている。それは文芸に於ても思想に於ても、将た又道徳宗教に於ても皆然りである。それ故、漢字漢語の研究を外にして東洋の文化を云為することは不可能である。そこでこの宝庫を開く一つの方法として辞書の編著が考慮せられ、中国に於ても我が国に於ても早くその作品を見た。しかし実情から言えば、我が国従来の漢辞典は幾多の進歩があったとは言え、大体文字語彙の数が少なく、中国の辞典は康熙字典・佩文韻府等、大量のものはあるが、或るものは文字の解義だけで語彙はなく、或るものは語彙はあってもその解釈がないという状態である。これでは学界の要求を充たすわけには行かない。誰かこの欠を補ってくれる人はないものか、若し他にないとすれば、自分はその器ではないとしても進んでその任に当たってみよう、これが私の大漢和辞典の編著を企てた直接の動機である。 この志を立てたのは、今から数
2012/02/18 リンク