コロナ後に広がった世界の経済格差。貧困の問題はなぜ解決しないのか。貧困層に少額融資をする「グラミン銀行」を創設し、2006年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュの経済学者ムハマド・ユヌス博士は「世界を動かしている経済システムそのものに問題がある。システムを設計し直さないといけないが、多くの人が誤った資本主義のイメージや人間像に囚われている」という――。(聞き手=国際教育評論家・村田学)(前編/全2回) コロナ禍で広がった格差 ――ユヌス博士は貧困層に無担保で少額融資する「マイクロクレジット」を創案し、2006年にはノーベル平和賞を受賞されました。一方、依然として世界では経済格差が広がりつつあります(※1)。 ※1:世界不平等研究所の「世界不平等レポート2022」では、世界の上位1%の富裕層が世界の富の約40%を保有している(2021年)。前回のレポートでは上位1%の富裕層が占める富の割