生活に困窮する人々を支援する活動に関わり始めて、今年で30年になる。この間、民間の困窮者支援の現場は、1990年代のバブル経済崩壊、2008~09年の世界金融危機、20~21年のコロナ危機など、その時々の社会経済の変動に大きく翻弄(ほんろう)されてきた。そして、歴史的な物価高騰が始まった22年以降、私たち民間の支援者は新たな貧困問題に直面している。それは「生活保護利用者の生活苦」という問題だ。 東京・池袋で長年、生活困窮者への支援活動を続けてきたNPO法人TENOHASIによると、同団体が定期的に実施している炊き出しに集まる人はコロナ禍を機に急増。19年度平均166人だった炊き出し利用者は、21年度が平均398人、22年度が平均512人と3年で3倍以上に膨れ上がった。炊き出しの利用者数はコロナの5類移行によって行動制限が緩和された後も減少せず、23年度は平均530人、今年度の上半期は平…