松江市教育委員会が、小中学校に求めていた漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を、手続き上の不備を理由に撤回した。 だが、閲覧権は大人と子供では同等ではない。大人は自由に読むことができても、子供には読ませたくない図書もある。年齢などに応じた適切な配慮が必要である。 一般に公立図書館などで、特定の図書を正当な理由なしに本棚から撤去したり、廃棄したりすることは、言論・表現の自由に反し、許されない。しかし、学校の図書館では、そうした一般論は必ずしも当てはまらない。 「はだしのゲン」は、原爆投下後の広島で生きる少年を描いた作品だが、一部に旧日本兵が首を刀で切り落としたり、女性を乱暴して殺したりする残酷な場面が出てくる。米国の原爆投下は日本が戦争を起こしたことの報いだとする「原爆容認論」が、子供たちの心にすり込まれる恐れもある。 昨年暮れ、市教委がこの場面を子供たちに見せるのは教育上、好ましくないとして、市