人間系 高橋 阿貴 助教 マウスは臆病な動物ですが、二匹のオスを同じケージに入れるとけんかを始めます。これは互いの優劣を確認するためのけんかで、弱いほうが降参のポーズをとることで収まります。一般に、同種の個体に向けられた攻撃行動には抑制がはたらく仕組みがあるのです。ところが、恐怖にかられた攻撃などには抑制が効かないことがあります。これは、攻撃行動の目的により、抑制の仕組み、つまり神経生理的な仕組みも異なっていることに起因しているのです。 高橋さんは、当初、マウスの不安行動を調べていました。見知らぬ環境に置かれたマウスは、いかにも不安そうな行動をします。ところが、オスが不安そうな様子を見せているケージに別のオスを入れたとたん、一転して攻撃行動に出たのを見たことで、攻撃行動に興味をもつようになったそうです。攻撃行動にはセロトニンという神経伝達物質の関与が大きいことがわかっています。マウスだけで