出口の見えない出版不況、出版社は電子書籍やWebメディア連動に活路を見出しつつあるが、印刷業界はどうだろう。発行部数減の影響を受けて、やはり厳しい状況にあるのだろうか。実は、雑誌や書籍の部数は減っていても、いわゆる軽印刷やカタログ・チラシなど商業印刷はむしろ伸びているという話もある。 また、印刷業界も独自のデジタル化を模索し、新しい商品や付加価値サービスを生み出している。今回、ARを電子書籍や商業印刷に取り入れ、新しいビジネスを広げようとしている暁印刷という会社の事例を取材した。 同社はおよそ80年の歴史を持つ中堅印刷会社。同社のデジタル化の歴史は、他の印刷会社と同様に組版データの電子化から始まっている。DTPや製版フィルム・刷版のデジタルデータ化を経て、本格的な電子書籍を手掛けたのは、2004年ごろ。当時はPDAと呼ばれる電子端末向けのコンテンツ制作を主に手がけていたそうだ。その後200