「当て馬」という言葉をご存じだろうか。私如きが説明するのは生意気も甚だしいが、今回の記事のテーマのため、あえて説明させて欲しい。 当て馬とは、競争馬が子を成す際、その気にならないオス馬を興奮させる、つまり性欲を刺激させるためにあてがわれるメス馬のことである。 用意されたメス馬がオス馬を性的に興奮させ、その気にさせたところで、子を作らせたい本命のメス馬へチェンジする。文字通り、主人公をその気にさせるためだけに生まれた、いわゆる使い捨てキャラそのものである。 恋愛で言えば、気のある相手を落とすために利用する「気のない」相手のことである。この時点で、当て馬がどれだけピエロな存在、むなしい存在と思っただろうか。 そんな当て馬に、私が今日会社内でその役を担わされた。尻軽の若手女社員Sさんのために。 最初、会社の勤務終了後、たまたま帰り道でM先輩と顔を合わせた。M先輩は別の部署だが、昔は私と一緒の部署