トラックドライバーの労働環境は、なぜ改善されないのか。元トラックドライバーの橋本愛喜さんは「過労死に関する労災請求件数のうち、運輸業の『自動車運転従事者』が15年連続で最も多い。国は『働き方改革』で長時間労働を規制したが、これでは逆効果になりかねない」という――。 トラック運送業は「ブルーカラーの花形」だった トラックドライバーの間では、誰が言い始めたか「航海」という言葉がよく使われる。「トラックが自身の会社を出発して帰ってくるまでの運行」のことだ。 一度地元を離れ、日本という“大海原”に出ると、時に1週間近く家族や友人らと離れ、ひとり愛車を走らせながら全国の見知らぬ地を漂い続ける。 「航海」は、そんな過酷で切なくありながらも、彼らの誇り高さを見事に表した言葉だと思う。 高度経済成長を経てバブルを迎えたころ、日本では過重労働が年々激化。「24時間戦えますか」と挑戦的に問いかけるCMのフレー