それぞれのチューブから出された色鮮やかな絵具は年を重ねる度に色が混ざり皆同じような濁った色になってしまう。 わたしには様々な条件か揃うと発現するセンシビリティがあった。子供の頃の話しだ。それは感覚や感情が複雑に絡み合って生じる不思議な反応だった。 曇り空の逢魔が時。自宅前の道にわたしはひとり佇んでいた。低い空も辺りを満たす冷たい空気も家屋も道もみんな灰色だった。隣家の大きな柿の木から落ちた腐った実だけが、灰色の道に汚れたオレンジ色の染みを作り、甘くすえた臭いを漂わせ、わたしの鼻をくすぐる。突然、灰色の空気を切り裂くように一羽の オナガ が鋭く二度鳴いた。 そんな時に発現する 「あ、これ」という感覚。 感覚自体を表現するのは難しい。デジャヴとは全く違う。条件が揃うと発現するセンシビリティ。精神的な反応と感覚 。残念ながらわたしには起きてる心的現象の詳細を上手く説明できそうにない。 小学生の頃