三洋電機を代表する商品だった充電式電池「エネループ」がこの秋、10周年を迎える。パナソニック傘下に入り、三洋の多くの事業は吸収・売却され、姿を消した商品も少なくない。エネループも一時、廃止が検討されたが、危機を乗り越え、世界80カ国で販売されるまでに広がっている。 ニッケル水素電池であるエネループの発売は2005年11月。三洋が05年3月期に巨額の赤字を出し、経営危機のまっただなかで、経営陣が危機脱出のビジョンとして「環境」を前面に打ち出す中で生まれた。 技術やデザイン、販売など事業部門の垣根を越えて進めた一大プロジェクト。コンセプトは「エネルギーの循環(ループ)」だ。従来の充電池はいっぱいにしても、時間とともに放電してしまい、いざという時に使えない難点があった。エネループは、1千回繰り返し使うことができ、充電後、1年放っておいても85%以上の容量を維持できるのが特徴だった。 エネループは