その発端となったのは、今年1月、ロシア政府が宇宙機関と宇宙産業の大再編を決定したことだ。 宇宙大国と呼ばれるロシアだが、ここ数年、技術的欠陥や単純ミスによってロケットや宇宙機が失われる事故が続発しており、危機感が高まっていた。 そこで2012年、当時の連邦宇宙局長官であったウラジミール・ポポフキン氏は、連邦宇宙局とロケット・衛星メーカーを統合して国営企業へと再編してしまうという大胆な改革案を提起した。 連邦政府の行政機関である連邦宇宙局と民間企業を統合したうえに国営企業化してしまう、というとかなり無茶な話にも聴こえるが、実はロシアにはすでに前例がある。原子力省と原子力関連メーカーを統合した国営企業のロスアトムだ。 ロスアトムは行政機関として連邦政府予算の支出を受け、原子力政策を策定し、各種許認可や監督業務を行う一方で、傘下の原子力企業群によって原子力発電所の建設や運営、軍事目的の核兵器の開