この8月、JR九州で新しい観光列車「或る列車」がお目見えした。担当した工業デザイナーの水戸岡鋭治さん(68)は、豪華列車「ななつ星in九州」をはじめ「ゆふいんの森」「いさぶろう・しんぺい」など多くの列車を手がけていることで知られる。折しも新刊『鉄道デザインの心 世にないものをつくる闘い』の出版記念イベントが開かれ、水戸岡さんが列車づくりの姿勢を語った。 通勤電車に本革シート記者は6年前、鹿児島の離島に出張した際に、九州新幹線に初めて乗った。当時は新八代(熊本県)~鹿児島中央のみが開通していたため、博多から新八代までは在来線の787系特急電車「リレーつばめ」に揺られて行った。この電車も水戸岡さんデザインで十分に豪華な列車だったが、新八代で乗り換えた九州新幹線「800系」電車には度肝を抜かれた。 JR東海・JR西日本で使われている700系を基に開発されたJR九州の800系には、グリーン車がない