長期化する休業によって給与が激減し、生活に不安を抱える人々への支援策として、国の政策の中心にあるのが雇用調整助成金(以下「雇調金」とする。)だ。これまで雇調金については、手続の煩雑さなどの制度の不備が多くのメディアによって指摘されてきた。私自身もその一人だ。 しかし、状況は変わりつつある。後で詳しく述べるとおり、雇調金の制度は大きく改善され、急速に活用が進みつつあるのだ。 ここで立ち止まって考えたいのは、これまでの報道では、「制度の不備のみが強調され過ぎていなかったか」という点だ。こうした報道は、政府の施策の問題点を明るみにした一方で、制度の利用を諦めさせる要因にもなっていたのではないだろうか(なお、筆者は政策の不備と共に、労働者側からの請求の重要性を一貫して主張している)。 雇調金は労使双方にメリットのある制度であり、うまく活用すれば、新型コロナによる影響を最小限にくい止めることができる