哀愁のサラリーマン人生別れの春がやってきた お父さんは今日、出向になった トヨタ、パナソニック、新日鐵住金、三菱東京UFJ銀行 ——突然、上司に呼ばれて告げられた。妻は「どうするの」と詰め寄り、結婚式を控えた娘は「相手の親に言えない」と泣いた。 でもこれがパパの人生なんだ、わかってくれ 勤続30年。会社も家族も祝ってくれるものだと思っていた。待っていたのは「出向」という名の片道切符。こんなはずじゃなかった。オレのサラリーマン生活は一体何だったのか。それでも人生は続く。 かつての部下に頭を下げた 「30年にわたる社業への貢献には、心から感謝している。その経験を、これからは関連子会社で活かしてもらえないだろうか」 呼び出された役員室のソファに座るなり、新日鐵住金のある部長は担当役員からそう告げられた。55歳のときのことだった。半ば覚悟はできていたつもりだったが、実際にその言葉を告げられると、一