さてここでいよいよコーヒーが登場する。安定した性能で試すため、コーヒーは市販のインスタントを使う。どの銘柄が現像に向くのか、つまりハイドロキノンを豊富に含んでいるのか、もちろん商品にはそんな記載はないので、冷たい水にもさっと溶ける、といううたい文句の商品を買ってきた。ティースプーンで計量したコーヒーを炭酸ナトリウム溶液で溶かす。 できた現像液はまるでコーヒーだった。試しに飲んでみたかったのだけれど、そうとう強いアルカリ溶液のはずなので止めたほうが懸命。強いアルカリはたんぱく質を分解するので当然体によくない。アルカリ性の温泉につかると皮膚がぬるぬるするのは、古い角質がアルカリで溶けているのだよ。 ではいよいよこのアルカリコーヒーを使ってフィルムを現像してみよう。テスト用のフィルムはダークバッグとよばれる簡易暗室の中で短くカットして現像用タンクに詰めた。