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GW前に読んだものですが、高いパフォーマンスを発揮するためには圧倒的なハードワークが必要で、今は働き方改革のために会社として若者にその機会を与えてやることができなくて悔しいという趣旨の記事がありました。

時短推進の働き方改革の中で、20代の若者はどのように成り上がれば良いのか

この記事で書かれていることは、全ての人間がハードワークするべきだ!みたいな過激なものではありませんし、もっと働きたいという従業員にその機会を与えることができずにもどかしい気持ちだよねという内容のもので、全体的な趣旨としては概ね同意できるものでした。

しかしながらこの記事の内容でどうしてもモヤモヤする部分を個人的に感じたこともありました。GW中に色々考察して自分の考えを整理してみましたので、令和になって一本目の記事にその内容を書いてみたいと思います。

人によって考え方はそれぞれなので賛否両論あるかと思いますが、ぜひ率直なご意見をいただきたく、少しでも有益な議論ができれば幸いに思います。

成長の機会=ハードワークという幻想

まず始めに、私は別にハードワーク否定派ではありません。むしろどちらかというとハードワーク肯定派かもしれません。ただ組織としてどうあるべきかと個人としてどうありたいかは分けて考えてます。

確かにハードワークはやり方を間違わなければ有効な成長手段の一つになり得ます。圧倒的なハードワークによって成長したり大きな成功をしてきた人はたくさんいる事実は否定できないでしょう。

しかし、成長の機会=ハードワークのような主張には違和感を覚えます。まるで成長するためにはハードワークするしか手段がないかのように言う人達がいるのはなぜでしょうか。

過去に自分がハードワークによって成功してきた人達が、ハードワークしないと成長できないと主張している姿を見ると、そういった過去の自分の成功体験から離れられずにいるように見えます。過去の偉人に対して失礼かもしれませんが、自分の成功体験に縛られるその姿は完全に老害です。

ハードワークは確かに成長のための手段の一つではありますが、成長するための手段はハードワーク以外にもいくらでもあるはずです。成長の機会=ハードワークではありません。

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ハードワーク以外の成長手段

成長手段はハードワーク以外にもあります。例えば自分でスキルアップのための勉強をすること、本を読むこと、有益な経験を共有できる人と会うこと、副業することなど、業務以外の場面でも成長の機会は色々あります。

アクシアはエンジニア主体の会社ですが、個人でスキルアップのための勉強をしている人、自分でアプリやサービスを作っている人、技術に関するブログ記事を書いている人、色々な勉強会に参加してそれを社内にフィードバックしてくれる人、自分でプログラミング言語そのものを作ってみた人など、業務外でも成長につながる有益な活動をしている人は多くいます。

アクシアは残業ゼロの会社なのでハードワークは無理ですが、私は彼らの活動が成長につながらないとは全く思いません。自分の会社の社員ではありますが、私は彼らの姿を見ていて、ハードワーク以外でも大きく成長することは可能だと確信しています。

ハードワークでしか成長の機会は得られないかのように言う人達に一言いわせていただきたい。

本当に自らの成長を願う人達は、別に会社の業務時間としてハードワークの場をあなたが提供しなくても、彼らは自分で勝手に成長の機会を見つけていきます。

もちろん業務の中でしか得られない経験もたくさんありますが、それは必ずしもハードワークという形で経験させる必要があることでしょうか?通常の業務時間として機会を提供すれば十分かもしれないという可能性についても一度考えてみるべきだと思います。

成長には圧倒的な時間が必要

ここで勘違いする人がいないように一つはっきりさせておきたいと思います。私は成長の機会はハードワークだけではないと言いましたが、成長するためには圧倒的な時間が必要であることも、また事実だと考えています。

その辺りのことについては、下記の記事に私の考えを端的にまとめています。

自分が圧倒的な成長をしたいと願っている人は、より多くの時間を投入した人の方が圧倒的に有利であるという真実は理解しておく必要があります。成長するためにハードワークする必要はなくても、何かしらの手段で時間を使うことは絶対に必要です。

ほんの一握りの一部の例外的な天才だけは、もしかするとそんなに時間を使わなくても圧倒的な成果を出せるのかもしれません。しかし我々は普通の凡人ですから、勝ち上がっていきたいと思うのであれば、それ相応の時間の投資も必要です。そこから逃げていては勝つことは難しいです。

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睡眠時間だけは削ってはいけない

成長するためには圧倒的な時間が必要なので、睡眠時間を削るくらいに自分の成長に時間を使おう!みたいなことを考える人がいたら「バカなの?」と言うしかありません。

睡眠時間を削ると人間は本当にバカになりますので、それだけは絶対に避けなければなりません。睡眠を軽く見ている人はぜひ下記のエントリーもご覧になってください。

1日8時間を睡眠時間にあてるとして、その他食事等の1日に必要な時間を仮に2時間とする場合、普通の人間が1日に自由に使える時間の限界は14時間程度ということになります。これくらいまでなら、勉強したり仕事したりすることも不可能ではないということになります。

ただし普通は通勤時間があったり、他にも色々やらなければならないことがあったりするわけで、そういうことを一切考慮せずにほぼ全ての時間をつぎこんだ場合で、使える時間の限界は14時間程度だという理解をしておく必要があります。

会社に住んだり在宅勤務をしたりすればそれだけの時間を捻出することも不可能ではないかもしれませんが、通勤という運動すらも排除されると人間の体は簡単に弱体化していきますから、健康管理のためにある程度の運動の時間も必要になってきます。

そこまで考えると現実的にぎりぎり何とか1日で使える時間の限界は12時間程度ではないでしょうか。これ以上削るとほぼ間違いなく長期的には健康を害することになると思います。時間の縛りなく自由に働ける経営者やフリーランスという立場の人であっても、1日に仕事をする時間は多くてもこれくらいまでにとどめておくことが自己管理として当然のことと考えます。

働き方改革法の残業上限時間の妥当性

働き方改革は「もっと働きたい」という人達の成長の機会を奪っているという人達もいますけど、本当にそうですかね?働き方改革法で定められた残業の上限時間は本当に過剰に制限されたものでしょうか?

働き方改革法の残業上限時間の内容を見てみるとざっとこんな感じです。

  • 原則は月45時間、年360時間までを上限とする
  • 繁忙期は単月で100時間未満とする
  • 2~6ヶ月の期間で月平均80時間以内とする
  • 年間計720時間以内とする
  • 45時間を超えられる月は6ヶ月までとする

年間計720時間以内とありあすが、これには休日出勤は含まれないため、休日出勤も含めると年間で960時間まで可能ということになります。月平均だと80時間、1日平均だと4時間という計算になります。

私は色々計算してみると現実的にぎりぎり何とか1日で使える時間の限界は12時間程度ではないかと上記で述べました。この場合1日の労働時間が8時間だと残業時間は4時間です。

つまりこれ以上働くと体調を崩すことが確実と思われる限界ギリギリのラインで設定されているわけですね。限界ギリギリならセーフと思う人もいるかもしれませんが、本当に限界ギリギリなので、これは実質的には過労死ラインです。

もう少し別の資料も見てみましょう。画像のグラフはここから引用させてもらいました。

過労死の残業時間別労災支給決定件数と割合
過労死の残業時間別労災支給決定件数と割合

私が1日で働ける時間は限界ぎりぎりでも12時間程度(残業4時間)と主張するライン、月80時間の残業が発生しているラインの前後を見ると、かなりの方が過労死で亡くなっていることがわかります。45~60時間のラインでも亡くなっている方がいるようですね。

これらのデータを見てみれば、働き方改革法で定められた残業時間の上限は決して厳しすぎるものではないと思うんですよね。むしろもっと厳し目にするべきだったとさえ感じます。

少なくとも働き方改革は若者の成長機会を奪っているみたいな主張は、データに基づかない全く個人的な主観によるものであり、これからの時代では改めていかなければならない考え方だと思うんですよね。

ご自分がハードワークによって成長して成功も収めてきたという成功体験もわかるのですが、そのやり方を許容してしまうと死人が出てしまうかもしれないということをデータからきちんと理解しておく必要もあるのではないでしょうか。

「最近の若者は」という言葉は古代の遺跡にも書かれていたと言われるくらい、人類に普遍的に備わった考え方のようです。過去の自分の成功体験はそれはそれとして、意識して新しい時代の新しい考え方を柔軟に取り入れていかないとすぐに老害化してしまうかもしれません。(超自戒!)


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