没ネタお蔵だし
アパグループ第4回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀賞を受賞した高田純・札幌医科大教授が著書『核と刀―核の昭和史と平成の闘い』(明成社)において、あのドクター中松と同じガセネタをとりあげていることについては、以前にエントリを書いたことがあります。その後、なかなか香ばしい事実を発見していたものの、この人がマスメディアで「原発=安全」論の宣伝者として活躍するようなことがあった時に備えてとっておいたんですが、産經新聞や『WiLL』などには登場するにせよ、メインストリームのメディアでは朝生に出たのが目立つ程度、さすがにお呼びがかからないようなので披露し損ねていました。まあ大したネタでもないのですが、先日思い出したので埋め草代わりに。
大学にポストを持つ研究者の著書でありながら、『核と刀』がウィキペディアの「広島市への原子爆弾投下」の項を参考文献にあげていることについてはすでに触れておりましたが、実際に目を通してみると、「参考」どころかほとんどコピペしている箇所があります。『核と刀』の26ページ、最初の4段落はまあそれなりに文章をいじくってあるのですが、その次の段落から29ページの1行目まで、2ページ強にわたってウィキペディアの記事の「原爆に対する日米政府の反応と原爆報道」というセクションのうち「第一報 8月6日」から「大本営発表」までの部分をほぼ丸写ししています。「6日」を「同日」と変えたり「上記のごく一部」を「軍の一部」としている程度。いかに理系といえども、被曝医療とか放射線防護を研究テーマとしている研究者が、広島に原爆が投下されるまでの経過を書くのにウィキペディアを丸写しとは……。同業者による評価など最初から予定していない、書き飛ばしの小遣い稼ぎであることは明白です。