クルマに乗る人なら、誰もが昨年11月頃からの燃料費の高騰ぶりにため息が出ているのではないでしょうか? しかも今後は脱炭素社会に向けて、化石燃料の値段はさらに上がり続けてくるのは誰の目にも明らか。「いよいよEV車かぁ」と言いたいところですが、インフラや航続距離の問題がないわけではありません。そこで目をつけたのは軽油。ディーゼル車です。今回はそんなディーゼルエンジン搭載のBMW「118d」をご紹介します。
ディーゼル&FFのBMWってどうなの?
「BMWといったらシルキーシックスだろ」「FR以外のBMWはBMWではない」とお考えの貴方。担当編集であり、元Z3(直6モデル)乗りのスピーディー末岡からも「お前、何を考えているんだ?」と小言が飛び出しますし、なにより言い出しっぺの不肖も、そう思いました。今旬のBMWを取材するなら第42回日本カー・オブ・ザ・イヤーのデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したM4クーペでしょう。当然、今回の試乗取材にお付き合いいただくスポーツカーが大好きな新 唯(あらた・ゆい)さんからも「ディーゼルエンジンってトラックのエンジンですよね? 運転して楽しいんですか?」とご不安なご様子。わかります。すごくわかります。
ですが、なぜに突然ディーゼルエンジンと言い出したのか? それは燃料費高騰もさることながら、この取材前にMINIのCooper SD 5Doorを試乗し、そのディーゼルエンジンが存外に良かったからにほかなりません。確かにエンジンの音はガラガラいってウルサイですし、振動だって相応に伝わってきます。ですが燃費は高速道路でリッター19km近くを記録しましたし、追い越しや合流もパワフルでストレスフリー。「長距離移動するならディーゼルはアリかも!」と思ったから。「ならばBMWブランドだったらどうなるんだ?」と思ったわけです。
さて、118dに搭載するディーゼルエンジンは、前出のMINI Cooper SD 5Doorと同じB47C20Bという型式の1995cc直列4気筒DOHCターボ型。ただ最高出力と最大トルクが異なり、最高出力はMINIが170馬力であるのに対し、118dは150馬力。最大トルクもMINIの360Nmに対して350Nmとダウン。
さらに言えば、118dと恐らく同じシャシーを使っている(と思われる)MINI クラブマンSDと比べると、最大出力で40馬力、最大トルクで50Nmも少ないではありませんか。もっともMINI側はCooper Sというスポーティーグレードの設定なので、ブースト圧が高めなのでしょう。
さて、いきなりエンジンの話に固執してしまいましたが、クルマのエクステリアをチェックしてみましょう。ボディーサイズは全長4335×全幅1800×全高1465mmと、日本の道では扱いやすいサイズです。MINIクラブマンSDと比べると、全長は60mm長く、全幅は同じ、全高は5mm低い、ということになります。ちなみにお値段は118dが407万円、MINIクラブマンSDが465万円。この事実に唯さんは「BMWというから、700万円とかすると思っていました。MINIより安いとは思いませんでしたね……」とたいそう驚かれた様子。「それに個人的にはBMWのエクステリアが好みですね。キドニーグリルにちょっと釣り目のヘッドライト、ワイド&ローなボディーバランス、実にカッコイイです!」と掴みはOK。
まずバックドアを開けて荷室をチェック。ラゲッジスペースの容量は380リットルで、後席を倒せば1200リットル。Cセグメントハッチバックの中でも大きめといえる容量です。開口部も大きく、地上開口高も低いので、積載性や使い勝手はとてもよいといえるでしょう。さらにラゲッジの下にも収納もあります。「おぉ! すごいすごい」と言いたいところなのですが、ここでイチャモンをつけさせていただきたいと思います。他社も含めてなのですが、トランクスペースにプライバシー保護用のトレイがついてくるのですが、これが荷物を出し入れする時に邪魔なのです。他社で恐縮ですが、Hondaシビックのようなロールカーテンみたいにしてほしいと思います。
続いて後席をチェック。「あー、広いですね。いいですね」と文句ナシ。「結構前の見晴らしがイイですから、閉塞感は少ないですね」というのが唯さんの感想。ASCII.jp的にはUSBをチェック。ちゃんと2ポートあって、しかもType-Cです。最近の欧州車のスタンダードですね。「最近Type-Cを使うことが多いので、うれしいですね」というわけで、女子ウケもバッチリです!
それでは運転席へ。「カッコイイし、座り心地もイイ」というわけで、ここでも女子のハートをガッチリキャッチ。そして「メーターパネルの中、アウディみたいにナビ画面が表示されるんですね」と、これまたガールズハートをキャッチアップ。これが実に使いやすいんです。「イルミネーションはアンバーで統一されていて、温かみがあっていいですね」と賛辞の言葉が並びます。
と、賞賛が並ぶと提灯記事みたいなので、再びイチャモンをつけさせていただきたいと思います。それはQi充電対応のスマホトレイが使いづらいこと。横に刺し込むように入れるのですが、iPhone 8ならともかくiPhone XS Maxのような大型端末は入れづらいし取りづらいのです。スマホは縦に持つのが基本ですから、ここは縦にしてほしいと思いました。
USBはスマホトレイ側にType-A、アームレスト内にType-Cを用意。助手席の人はType-Aで充電しつつ、アームレストの中でモバイルバッテリーを充電という運用ができます。これはイイ判断だと思います!
オープンカー好きの唯さんのハートをキャッチしたのが、約40万円のオプションサンルーフ。「ボタン一つで結構解放感が得られるんですね。いいなぁコレ」というわけで、手動でルーフを開閉している身からすると、かなり気に入られた装備のようでした。
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