今回のことば
「夏が暑すぎることだけを我慢すれば、立地はいい(笑)。この熊谷の研究開発拠点が、世界の拠点として貢献することを期待したい」
(埼玉県・上田清司知事)
埼玉は3番目に工場立地に適した場所?
帝国データバンクの調査によると、新たな拠点整備の計画および可能性を持っている企業約2600社において、工場を立地するのに最適な場所に考えているのは、「海外」が最も多く、2位には、トヨタグループのお膝元である「愛知県」が入った。そして、3番目に入ったのが「埼玉県」だったという。
埼玉県・上田清司知事は、「埼玉県は交通の便の良さが高い評価の背景にある。大宮を通過しないと、東日本にも、中日本にも、日本海側にも行けない。そして、話題の北陸新幹線も通過する。また、高速道路にも恵まれており、どこにもでもアクセスでき、輸送にも最適な立地である」と語る。
その埼玉県において、県内4位の製造品出荷額を誇る熊谷市に、このほど、ハイアールアジアが、研究開発拠点を開設した。
「熊谷は、新幹線を利用すれば東京まで39分。大学も多く、産学連携も行いやすい環境にある。夏が暑すぎることだけ我慢すれば立地はいい」と、自虐的なジョークを織り交ぜながら、「ハイアールアジアの熊谷の研究開発拠点が、世界の拠点として貢献することを期待したい」と語る。
日本イチ暑い場所だったこともある熊谷市
熊谷市は、2007年8月に気温40.9度を観測し、最高気温を塗り替えたことがあるほか(現在は、2013年8月に高知県四万十市で記録された41.0度が日本最高気温)、年間猛暑日日数では、全国的にみても毎年上位に入るなど、「暑さ」が特徴の街となっている。JR熊谷駅でも、夏場は冷却ミストが散水されているほどだ。
その熊谷市に、熊谷駅から徒歩15分ほどの場所に、ハイアールアジアの研究開発拠点であるハイアールアジアR&Dが設置された。ハイアールグループでも世界最大級の研究開発拠点である。
「ハイアールは、世界100カ国以上で展開し、白物家電では5年連続でナンバーワンとなったアジア最大級のグローバル企業。こうした企業の研究開発拠点が熊谷市に進出することは大変うれしいことである。グローバル企業であるハイアールが持つ研究開発機能と埼玉県内の企業、研究機関が持つ技術やネットワークを結集し、日本と世界に貢献できる仕組みづくりが、ここで始まることを心から歓迎したい」と、上田知事は語る。
2012年には、ハイアール会長の張瑞敏がこの地を訪れて、風水でみても良い場所であることを確認した上で、拠点設置のゴーサインを出したという。
白物家電製品の基礎研究や商品企画のほか品質管理も
ハイアールアジアR&Dは、ハイアールアジアの100%子会社として設立。熊谷の研究開発拠点は、冷蔵庫とエアコンを中心とした白物家電製品の基礎研究や商品企画、デザイン、設計のほか、製品の品質確保に関わる業務を担うことになる。日本向けの製品だけでなく、海外に輸出する製品も、ここで企画されることになる。
ハイアールアジアは、京都にも洗濯機の研究開発拠点を持っており、国内2拠点体制。中国、米国、ドイツ、ニュージーランドにも拠点があるが、日本への研究開発投資の比重が高いことがわかる。
「今回の研究開発拠点には、70億円を投資した。この投資規模はハイアールグループが本気で取り組んだ研究開発拠点であることを証明するもの。そして、私自らが代表取締役会長として、ハイアールアジアR&Dによるイノベーションを直接担当することになる」と、ハイアールアジアの伊藤嘉明代表取締役社長兼CEOは語る。
先ごろ、ハイアールアジアが開発中として紹介したディスプレイ付冷蔵庫も、この熊谷の拠点で製品化が進められることになる。
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