『翠星のガルガンティア』村田和也監督インタビュー 後編
レドの相棒チェインバーはスマートフォンだった!?
2013年10月19日 12時00分更新
<前編はこちら>
続編制作が決定した『翠星のガルガンティア』
監督の村田和也氏にロングインタビュー
「ヒディアーズ」という未知の生命体をあのようなかたちで登場させたのは、「現実世界でも、iPS細胞などのバイオ技術の発達で、人体を意識的に進化させることが可能になってきたため」と語る村田和也監督。ヒディアーズは脅威であると同時に、人類進化の可能性のひとつとして描かれていた。
「船団」というモチーフに込めたのは、「共存・共栄」という生き方。国家間で所有権を争った時代を「20世紀的対立」と考え、それを超えるための生き方として、生態系の一員として生きる「共存・共栄」の道を提示したかったのだという。
本来は、自然界における生命体のひとつである「人間」。その人間が生み出した科学技術がいま以上に進歩することは、果たして人間を幸せにするのだろうか? 答えのひとつは、人工知能ロボット・チェインバーに象徴されていた。目指したのは、技術と自然の融合。「進化」は人のためにある。
[New!] 続編制作が正式決定、続報を待て!
10月25日発売のBD-BOX第3巻で大団円を迎えた『翠星のガルガンティア』だが、このほど続編の制作が決定した。今のところ制作決定以外の情報は明らかにされていないが、大いに期待して続報を待ちたい。
村田和也監督プロフィール
1964年生まれ。大阪府出身。建築関連の設計・工業デザインの仕事を経て、スタジオジブリに入社、演出研修生となる。
劇場アニメ『おもひでぽろぽろ』(1991年)とTVアニメ『海がきこえる』(1993年)の演出助手を経て演出家に。
主な演出作品に『剣風伝奇ベルセルク』(1997年)、『プラネテス』(2003年)、『交響詩篇エウレカセブン』(2005年)など。
『コードギアス 反逆のルルーシュ』(2006年)では副監督を、劇場アニメ『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』(2011年)で監督を務める。
『翠星のガルガンティア』あらすじ
遠い未来、遥か銀河の果て。人類は、異形の怪生命体ヒディアーズと種の存続を賭けた戦いを続けていた。激しい戦いの最中、少年兵レドは乗機である人型機動兵器チェインバーとともに時空のひずみへと呑み込まれる。人工冬眠から目覚めたレドは、忘れられた辺境の惑星・地球へと漂着したことを知る。表面のほぼすべてを海に覆われた地球で、人々は巨大な船団を組み、旧文明の遺物を海底からサルベージすることで、つつましくも生き生きと暮らしていた。ここはそんな船団の一つ、ガルガンティア。言葉も通じない、文化も習慣も異なる未知の環境に戸惑うレド。やむをえず、少女・エイミーらガルガンティアの人々との共生を模索し始めるのだが、それは戦うこと以外の生き方を知らないレドにとって驚きに満ちた日々の始まりだった。(『翠星のガルガンティア』公式サイトより)
BD-BOX 第3巻 10月25日(金)発売!
発売日:2013年10月25日(金)
価格:1万6800円(税込)
収録内容:本編第10話~第13話+完全新作OVA第15話の全5話を収録
特典内容
【映像特典】
■完全新作OVA 第15話「まれびとの祭壇」(24分)収録!
■ノンテロップ映像集<オープニング ver.1、オープニング ver.2、エンディング、第12話 アバンタイトル、第13話 アバンタイトル、第13話 エピローグ>
【封入特典】
■スペシャルCDブック「GARGANTIA LOGBOOK3」(全100P)
ガルガンティアの全てを徹底網羅したスペシャルCD BOOK!
表紙イラスト:鳴子ハナハル
[CD]スペシャルドラマCD
「エイミー・メルティ・サーヤのガールズトーク ~乙女の秘密篇~」
【キャスト】エイミー(CV:金元寿子)、メルティ(CV:阿澄佳奈)、サーヤ(CV:茅野愛衣)
「チェインバー支援啓発室 ~ラケージ篇~」
【キャスト】チェインバー(CV:杉田智和)、ラケージ(CV:恒末あゆみ)
「宇宙少年とブリキ野郎 ~黄昏空中さんぽ篇~」
【キャスト】レド(CV:石川界人)、チェインバー(CV:杉田智和)、エイミー(CV:金元寿子)
[BOOK]
鳴子ハナハル描き下ろしコミック(10P)
書き下ろし小説(41P) 執筆:谷村大四郎、監修:虚淵 玄(ニトロプラス)
ガルガンティアデザインワークス<キャラクター編>
スタッフインタビュー ほか
■絵コンテ集 第13話:村田和也(244P)
■イラストカードコレクション Vol.3(8枚)
【音声特典】
■第13話スタッフコメンタリー
出演/村田和也(監督)、虚淵 玄(シリーズ構成・脚本)、平澤 直(プロデューサー)、【司会】藤津亮太(アニメ評論家)
■第13話キャストコメンタリー
出演/石川界人(レド役)、杉田智和(チェインバー役)、小野友樹(クーゲル役)、藤村 歩(ストライカー役)
■第13話スペシャルコメンタリー「打ち上げ編」
出演/石川界人(レド役)、金元寿子(エイミー役)、杉田智和(チェインバー役)、伊藤 静(ベローズ役)、小西克幸(ピニオン役)
【仕様】
■BOXイラストは、キャラクター原案・鳴子ハナハル描き下ろし!
■両面描き下ろしインナージャケット
スペック
品番:BCXA-0753
カラー/131分(本編94分+特典37分)/リニアPCM (ステレオ)
AVC/BD50G/16:9(1080p high definition)/英語字幕付
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『翠星のガルガンティア』が「船団もの」になった理由
―― 『翠星のガルガンティア』のコンセプトとして、「仕事もの」ともうひとつ、「船団もの」があったということですが、なぜ「船団もの」にされたのでしょうか。
村田和也監督 僕は子供の頃から、帆船とか客船とか、乗り物としての船が大好きでした。北杜夫さんの『船乗りクプクプの冒険』や『どくとるマンボウ航海記』を読んで、海の生活っていいなと、すごく憧れていた時期がありました。
それと大人になってから、非常に惹かれるあるドキュメンタリー番組を見たんです。東南アジアか南米かは忘れてしまいましたが、大河を航行する移民船がありまして、そこに種々雑多な人たちが乗っていて、その中で生活したり、途中から乗ったり降りたりして、船がひとつの街というか、社会になっているんです。
移民船は途中、岸壁に寄せて、人や物資を載せ替えたりもするんですが、その移民船が走っている最中に、男の子兄弟がボートに乗ってワーッと近づいてきて、ロープをかけて接舷して、自分たちの船に積んできた野菜などを売るんです。
そうやって移民船の人たちと物の売り買いをして、売れたらまたボートに乗って戻っていく。その光景がすごく楽しくてわくわくしたんですよ。
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