10月28日に米国で開催された開発者向けイベント「PDC2010」に合わせて、「Internet Explorer 9 Platform Preview 7」(以下PP7)が「IE9 Test Drive」サイトで公開された。そこで今回は、PP7のパフォーマンスを検証してみたい。
本連載25回でも触れたが、「Platform Preview」とは、開発中のIE9からユーザーインターフェース部分を取り除き、ウェブブラウザーとしての基本的な機能だけに絞ったバージョンのことだ。つまり公開されているPP7は、ウェブデザイナー/アプリケーション開発者に向けた開発者向け版という位置づけである。PP7で機能強化された部分は、当然ながらIE9のリリース版にフィードバックされていくので、IE9がどのくらいの性能を持つのかを試せるわけだ。
HTML5で高い互換性を持つIE9
PP7のベンチマークテストに進む前に、HTML5の互換性に関する話題に触れておきたい。筆者が以前から「近い将来に問題となるかもしれない」と考えていたHTML5互換性テストの結果が、HTML規格を策定している「World Wide Web Consortium」(W3C)より発表されたのだ。
互換性テストが行なわれたウェブブラウザーは、IE9 PP6、Chrome 9.0.571.0、Firefox 4.0b8pre、Opera 11.00 alpha(Build1029)、WebKit Nightly Build r70732(Safariのレンダリングエンジン)などである。
テスト結果を見ると、IE9 PP6が最も互換性が高い。「Canvas」「Getelements By Classname」の2項目が100%をクリアしていないだけで、後の項目はすべて100%だ。
一方ほかのウェブブラウザーは、2つ以上の項目で互換性をクリアしていない。詳細を見てみると、70~80%の互換性をクリアしている項目もあれば、まだインプリメント中なのか、50%を切る項目があるウェブブラウザーもあった。
IE9はPP6の状態なので、このテストで100%をクリアしていない項目も、リリース時には(おそらく)完全な互換性を実現するだろう。このことから見ても、IE9はHTML5において高い互換性を持つと言える。IE6~IE7では独自規格をインプリメントして、ウェブブラウザーとしての互換性をあまり重視していなかったマイクロソフトが、IE9ではここまで互換性を重視している点には、時代の変化を感じる。
マイクロソフトはW3Cなどの規格策定に積極的に関わったり、互換性テストのプログラムを提供している。また、「W3Cなどの規格を重要視し、今後IEはウェブスタンダードに従った、互換性の高いウェブブラウザーにしていく」との表明もしている。今回は本気と見ていいだろう。
HTML5以外のSVG1.1やCSS3、DOM、JavaScriptなどの互換性については、IE9ではSGV1.1とJavaScriptで100%の互換性があるとしている。CSS3とDOMに関しても、99%と高い互換性を持っている(PP7のHTML5の互換性は98%)。比較されているウェブブラウザーは調査時点での最新バージョンのため、互換性テストでは結果が低いものも多かった。ただし、各社とも次世代ウェブブラウザーでは、高い互換性を実現する予定である。
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