ある日編集部から電話がかかってきた。
「藤山さん。得意の工作で起振装置とか作れませんかね~? HDDとか載せられるぐらい小さいヤツでいいんで……」
「起震装置? 地震起こすアレ?」
話を聞いてみると、SSDのサンプルが数台手に入ったのでクラッシュテストをやりたいという。小型・軽量性と読み書きの高速性ばかりがフィーチャーされているSSDだが、
実は1500Gに耐えられるという!
そこで編集部Kの頭の電球(多分100円ショップで売ってるロクでもないヤツ)が輝いたという。たた単に衝撃試験をしても面白くないので、
・ガクガクブルブル振動させながらの読み書きテスト
・ビルから落としちゃったケド大丈夫かな?の衝撃テスト
・焼き肉と間違って焼いちゃったけど何か?の耐熱テスト
を殺ろう!と。
ただSSDだけだと比較のしようがないので、一般的なHDDと比較して、
あははは! HDD(またはSSDも)ブッ壊れてヤンの!
と楽しもうというわけだ。数万円もする精密機器をぶっ壊すのは「快っ……感ん――」だ! 「ディスクは慎重に扱わなければならない」なんて貞操を何十年も守ってきたが、それを破る日が遂に来た。さよならバージン! そして大人の階段を一気に駆け上がりやがれ!
っつーか、こんだけのディスクがあったら持ち逃げしてヤ○オクで売ったほうが、原稿料より高いんじゃネ!?
試行錯誤で試作振動機完成!
でもディスクより前にブッ壊れた!
衝撃試験や耐熱試験は比較的簡単そうなので、まずは「ディスクを激しく振動させながら読み書きする」ための起震装置から作っていこう! 使った材料は、アキバの千石電商と近所のD.I.Y店で手に入れたものだ。
振動機レシピ | |||
---|---|---|---|
パーツ名 | どこに使う? | ||
タミヤ製ユニバーサルアーム | リンク機構を作る要 | ||
タミヤ製ユニバーサルプレート(L) | 機構の土台(完成したらそのまま木に固定する) | ||
タミヤ製ハイパワーギヤーボックス | 動力源 | ||
アクリル板 | ディスクの処刑台 | ||
ネジ | 処刑台を固定する | ||
スプリング | 処刑台を揺らす | ||
加速度(G)センサー | どんだけ揺れてるかが見えるようにしないとネ♪ | ||
3端子レギュレータ(3.3V) | Gセンサーの電源 | ||
ACアダプタ(5V) | Gセンサーの電源。レギュレータで3.3Vに降圧 | ||
コネクタ各種と電線 | 配線用 |
そして試行錯誤の末、完成したのがコイツだ!
最初はリンク機構を作って揺らしていたが、さほど激しく揺れない。SSDなら軽いのでトルクのいらないハイスピードギアでも動かせるのだが、HDDは重くトルク重視で低回転のパワーギアを使ったためだ。そこでバネで固定したアクリル板をアームを使って弾く方法に変更した。実際に動かしてみたのがコレだ!
ディスク拷問初号機 起動!
実にバカっぽくてコミカル! でもこれだけ激しい揺れの中で、ディスクの読み書きなんてやったことないので、かなり実用的と言えるだろう。
がっ! 起震装置のテストをしているとクラァーーーーッシュ!
疲労でアームがポッキリ逝っちまった! ということで、修理&機能強化を図り、ビルド2を制作。
試作機ではバネを台座の下のみに置いていたが、台座の上に硬めのバネをつけるとさらに衝撃力が高まったのでコレを採用。また当初はGセンサー用の電源回路などを起震装置の台に固定していたが、激しい振動でテスターのクリップが外れてしまうため、別の板に固定することにした。
Gセンサーは、Gによって出力電圧が変化するというものだが、テスターでは瞬間の電圧を測れないので、オシロスコープも引っ張り出してきた。
ぐはっ!オシロスコープの絵力強えーっ! バカな実験が一気に本格的に見えてきちゃったヨ! 次の写真は、このGの様子を示したものだ。
このGセンサーは6Gまで測定可能ということなので、それ以上は保証外の値だが、上下に最大±8G近くが出ているのが分かるだろう。富士急ハイラインドのジェットコースターは、3.5G~4.25Gなのでその倍違いGをディスクにかけられるだけでなく、0.5秒間隔で繰り返し襲ってくる計算だ。もしこの起震装置に乗れたら、確実に乗り物酔いすること間違いない。っつーか命ヤバイかも?
(次ページへ続く)
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