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iPad最強の楽器アプリ・KORG iELECTRIBEが出来たワケ

2010年04月17日 12時00分更新

文● 四本淑三

 「KORG iELECTRIBE」は1999年発売の電子楽器、コルグ「ELECTRIBE・R」の操作感とサウンドを再現したiPadアプリだ。

 リアルタイムシンセシスの分厚い音、ライブ演奏を考慮した操作の楽しさなど、さすがにメーカー自ら開発したソフトだけあって、楽器アプリの中でも完成度は最高だ。iPadで銘機がまさに「復活」したわけである。しかもそのお値段、なんと1200円!

VOX製ヘッドホン・ギターアンプの「けいおん!」モデルもコルグの提案によるものらしい

※ 2010年6月30日までの限定価格。それ以降は2300円。それでも十分安い

 それにしても、このところコルグはかっ飛んだ製品を立て続けにリリースしている。「KAOSSILATOR PRO」をはじめ、iPhoneサイズの超小型アナログシンセ「monotron」、そして生産終了かと思われたELECTRIBE・MX/SXも、SDカードに対応して復活した。そのダメ押しとも言えるのが今回の「iELECTRIBE」だったのだ。

 そこで我々はメーカー自らアプリを開発した経緯と、何より動作している現物を確認するため、コルグ本社へ足を運んだ。iELECTRIBEを企画した佐藤隆弘氏と開発マネージャーの福田大徳氏、インターフェイス設計の井上和士氏とサウンドデザインの大田祐樹氏、そしてオリジナル「ELECTRIBE」の開発を担当した金森与明さんの5名にご登場願った。

 また今回はYouTubeで「ELECTRIBE」と検索するとまっさきに出てくる「Denkitribe」さんこと高橋啓治郎さんもお招きし、演奏者としての立場でコメントをいただいた。なお高橋さんは、今回iELECTRIBEのプリセットパターンを担当している。


ずっとELECTRIBEがやりたかった

―― コルグからiPadアプリが出たということに驚きました。楽器メーカーとしては初のリリースで、社内の合意形成に苦労されませんでしたか?

iELECTRIBE開発担当 福田大徳さん(マネージャー)

福田 そこは「KORG DS-10の成功が大きかったと思いますね。

佐藤 コルグの製品は、まずユニークであることが重要なんです。それと、この開発チームはいつも新しいことをやっていて、PC用の「KORG Legacy Collectionに始まり、私と井上は「KORG DS-10」を作りました。いつも楽器として使える面白いディバイスを探していて、そこにiPadがハマった感じですね。

KORG DS-10 : ニンテンドーDS上にKORG MS-10をコンセプトとしたアナログシンセを再現したパッケージ

KORG Legacy Collection : MS-20、Polysix、Mono/Poly、M1、Wavestationなど往年のシンセを、PC上のソフトウェアとして再現

―― 開発のアイデア自体は、かなり前からあったと言うことですね。

iELECTRIBE企画担当 佐藤隆弘商品企画室長

佐藤 iPadの存在が噂になり始めたころから「面白そうだなあ、やりたいね」という話はしていました。それ以前から、ずっとELECTRIBEがやりたかったんですよ。

―― 最初のリリースが「ELECTRIBE・R」(1999年発売)を再現したものなんですが、この機種になった理由は?

福田 リズムマシーンと言うことで、音程を気にせずに誰でも使えるところですね。メロディーが入ると音楽的な知識が必要ですが、リズムなら誰でも楽しめますから。

高橋 僕はELECTRIBEの中では「R」が一番好きだったので、RでiELECTRIBEを作ると聞いて、すごく嬉しかったです。

―― オリジナルの開発者でもある金森さんは、こっちにも関わられてるんですか?

金森 僕はチェックを少しやったくらいで、僕の知らないところで知らない間に出来上がっていた感じですね。びっくりしました。でも他のメーカーに真似されるより、自分の会社の開発チームにやられた方が気分はいいですね。

―― 僕は実機を触った経験がないので分からないのですが、iELECTRIBEの音色には満足してますか?

金森 バッチリだと思います。気がついたときにはもう音が鳴っていて、本物と同じパターンが鳴っていたので「ああやられた」って言うか。

大田 iPad自身の出音もいいと思いますし、低音の厚みも出ていると思いますよ。

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