ブラウザーいっぱいに広がる鮮やかなグラフィック。フェードインでゆっくりと出現する写真画像。スクロールしながら画像に重なっていく半透明のテキストボックス――思わず見とれてしまう、キャンペーンサイトなどでおなじみの“派手なWebサイト”は、フルFlashが一般的だ。「Flashはよく分からないし、そもそもオーサリングツールもない」という個人サイトの制作者はあきらめるしかなかった。
パリ在住のフリーコンサルタント/Webデザイナー「Sebcreation」のWebサイトは、そんな常識を打ち破ることに挑戦している。まずはトップページを見てみよう。
おなじみのローディングアイコン、上下右左から次々とスライドしてくる半透明のテキストボックス……といったダイナミックなデザインに、「またFlashか」と思わずつぶやいてしまうかもしれない。ところがSebcreationでは、アニメーション/エフェクト処理をFlashではなくJavaScriptで実現している。使われているのは「MooTools」という人気のJavaScriptライブラリだ。
JavaScriptをFlash代わりに使えば、Flashのスキルやツールが不要になる。だが、メリットはそれだけではない。 Sebcreationは「フルFlashのサイトに比べてSEO対策の面で有利だ」とアピールしている。Sebcreationのサイトをよく見てみると、見た目の派手さとは裏腹に、ロゴ部分などを除くとほぼテキスト要素のみ。Flashだけでなく画像もほとんど使われていないのだ。
先日、新しいソニーグループのサイトがAjax/JavaScriptを使っていると紹介したが(関連記事)、ソニーの場合はどちらからといえば「シンプルに情報を整理するため」といった意味合いが強く、JavaScriptを使ったWebサイトの例としてSebcreationはソニーの対極にある。インパクトのあるカッコいいサイトを作りたいが、Flashは使えない――そんなとき、Sebcreationのデザインアイデアが参考になる。